LINE社の報道・言論サイト「BLOGOS」3月で終了へ、ブログ時代の曲がり角

幻に終わった元日の「廃刊」スクープ
SAKISIRU編集長

LINE社が運営する報道・言論サイト「BLOGOS(ブロゴス)」が3月いっぱいでサービスを終了することが2月28日、明らかになった。同サイト編集部がこの日、記事を転載しているブロガーや媒体関係者宛てに送ったメールで明らかにした。

サービス終了が明らかになったBLOGOS

ネット言論に「新境地」拓く

サイトの更新は3月31日で、サイト自体の公開は5月31日で、それぞれ終了するという。田野幸伸編集長は同メールで「長きにわたりサービスを運営してこられたのも、ご参加いただいたブロガーの皆様、媒体の皆様のご協力のおかげです」と謝意を綴っていた。

ブロゴスが創刊する少し前の2000年代中盤から、アメリカでは有識者や政治家が実名でブログ論考を書く人が増加。ハフィントンポスト(現ハフポスト)などの新興メディアがその土壌となり、2010年代にはSNS普及とも相まってネット世論が勃興する流れを後押しした。ただ、日本のネット発信は匿名発信が主流で、ネットメディアも今ほど多くはなかった。

そしてLINEの前身、ライブドアでニュースサイトの編集責任者など歴任した田端信太郎氏らが日本のネット言論の文化を変えようと、経済ブロガーの草分けだった池田信夫氏らに提案し、2009年1月に池田氏が運営する言論サイト「アゴラ」の創刊をサポート。さらに同年10月、自社でも始めた言論サイトがBLOGOSだった。

BLOGOSは政治、ビジネス、カルチャー、ネットなど様々なジャンルの記事を掲載。名物ブロガーの見本市のような役割も果たした。池田氏や山本一郎氏、藤沢数希氏といった当時の有名ブロガーのほか、政治家のブログも党派を問わず多数を掲載。毎日ブログを更新する都議会議員として名を馳せた音喜多駿氏(現参院議員)や、元経産官僚の宇佐美典也氏などの新しい書き手が世に出るきっかけにもなった。

筆者も世話になった1人で、大谷広太編集長(現アベマニュース編集部)時代の2013年3月から当時持っていた個人ブログをしばしば転載してもらった。その後、筆者が「競合」のアゴラ編集長になったこともあってか、大谷氏の後の田野体制になってからはすっかり転載されなくなった。

筆者の個人ブログはやがて閉鎖したが、BLOGOSには個人ブログの微弱な発信ではリーチできない多数の人たちに論考を読んでもらう機会をもらった。ロッテのお家騒動を解説した記事がフジテレビの制作者の目に止まり、地上波の報道番組に初出演するきっかけにもなった。今なお感謝している。

ヤフーとLINEの経営統合もBLOGOS終了の背景?画像はヤフー川邊(左)、LINEの出澤両社長(写真:つのだよしお/アフロ)

廃刊スクープを逃したが、背景は?

実は、筆者は昨年秋、LINE社内でBLOGOSの廃刊が検討に入ったことを掴み、事情を知る複数の関係者に取材を進め、元日のスクープ候補として狙っていた。旧年中の取材では、編集部の体制は部員が他部署に異動するなど徐々に縮小モードに入り、上層部が廃刊するかどうか検討に入ったことまでは掴んでいた。その時点で、ある関係者は「それなりにアクセス数を集めているので、まだ判断しかねているのでは」と見ていた。

結局、年明けから忙殺されたこともあって、本件についてはすっかり優先すべき取材対象から外れていた。なお今だから話すが、ある著名投資家らに相談し、資金調達の目処が立てば、場合によっては弊社でBLOGOSを買収できないかLINE社に申し入れる構想も抱いたのだが、結局、手をあげてくれる投資家が見つからなかった。そうなると人員確保もままならず、筆者自身はサキシルの運営で当面は手一杯のため、見送った次第だった。

しかし、冷静に考えればBLOGOSを取り巻く経営・メディア環境は年々厳しくなるばかりだったから、結局それでよかったかもしれない。

BLOGOS編集部のメールでは“廃刊”の理由を明らかにしていないが、取材した複数の関係者の間では、LINE社がヤフーと合併したことに伴う事業整理という見方が強い。それでも昨年1月ごろの媒体資料などによれば、月間2000万PV、500万ユーザー数はキープ、ひとかどの集客・発信力は残していたが、採算は厳しかった可能性がある。

“廃刊”に至る、LINE社上層部の最終的な判断理由に入っていたのかわからないが、近年、転載ブログへの風当たりは強くなっていた。コンテンツのコピペが容易なネットの世界にあって、グーグルがオリジナリティを重視。コピーサイトの排除に力を入れるようになったとされ、BLOGOSなどの執筆者の公認のもとで転載されているサイトについても対応が難しくなりつつあった。

また、BLOGOSやアゴラが創刊した10年前と異なり、文藝春秋東洋経済新報社といった老舗の名門出版社がニュースサイトを拡充。大物執筆者とのコネクション、新しい才能の発掘能力、多数のアーカイブ資産などを擁する伝統メディアのDXが加速。さらにハフポスト日本版バズフィードジャパンなど、伝統メディアから記者・編集者の即戦力がこぞって移籍する新興メディアも相次いで出現。ブログメディアの立ち位置をどう見出していくのか難しくなっていた。

ブログメディアは既存メディアのアンテナには引っかかっていない、新しい才能を世に送り出す「登竜門」としての役割も大きかったが、社会問題や政治に関する若手の表現者はYouTubeなど動画へのシフトを加速している。BLOGOS廃刊は、ブログ論壇の曲がり角を象徴する出来事であるに違いない。

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