リベラル色のある政治塾開講だけど、乙武さんが“起業家”になるのは良いことだ

本人も気づいていなかった「ニュース」とは
SAKISIRU編集長

ベストセラー「五体不満足」で知られる作家の乙武洋匡さんが12月に「未来をつくる政治塾」を開講することを明らかにした。今年7月の参院選では東京選挙区から無所属で出馬して落選したが、当時も掲げた「社会に選択肢を増やす」コンセプトを、政治家志望の人材育成という形に変えて挑戦する。

乙武洋匡さん(編集部撮影:今夏の参院選出馬時)

新しい政治塾の講師には、熊谷俊人千葉県知事や、経済学者の成田悠輔氏らを招くという。乙武さんは「これまで政党や元政治家による政治塾はあったと思うが、あくまで『政治×ダイバーシティ』にこだわった運営が、既存の塾との差別化になっていくよう運営していきたい」と抱負を語っている。

一方で、すでに大手メディアの報道を見た人もいるだろうが、率直にいうと、SAKISIRU愛読者のリアリスト志向の人たちからすると塾の立て付けをみて、「意識高いリベラル系がまた何か始めたのか」と生温かい目で見ている人もいるかもしれない。

確かに政治塾のあり方について批判も含めて意見は多々あるだろう。そもそも開講者の政治的な立ち位置が礎になる。しかし今回の話題、実は世間一般も、いや…ローンチに夢中の本人が自覚すらしていなかった「ニュース」がもう一つある。

それは乙武さんが起業家として一歩目を歩み始めたことだ。本人にも確認したが、認可保育園を立ち上げ、運営会社の取締役になった経験はあるが、自ら代表者となって新規事業をするのは初めてだ。

実は筆者は、落選した乙武さんが一度自身の手で起業をしてみた方が良いと以前から思っていた(どこかで書いた記憶もあるが、すぐに探せず)。彼自身の知名度、発信力もさることながら、多種多彩な人脈があり、「1種1級」障害者の視点から社会の課題を見てきた経験は比類なきものがある。

一方でやりたいことを実現するため、自身でヒト、カネを集め、そのリソースをどう配分し、色々な人に指示を出していくか。何がリスクでどこまで踏み込むか、といった経営の面白さであり、難しさであったりを自分自身が経験し、苦闘してみることで、これまで一流のリーダー人材から見聞きしてきた世界観の裏付けになり、いわば“理論と実践”が結びつく形になる。

それにより乙武さんが来たる50代で何か新しい付加価値を社会に提案していくための血肉になるだろう。本人だけでなく、その一連のプロセスを若い世代が見ることで新規事業や起業、そこまで行かなくても副業や地域おこしで新しいことをやってみようと言う気にさせるきっかけになれば意義があるのではないか。

なお付言ながら、政治塾という点に限って筆者が一つ期待することがあれば、乙武さんには、政治の世界に新しいリベラル人材を送り込み、観念論的な平和論を振りかざす「古い左派」をアップデートすることだ。具体的には今回の講師の1人である熊谷知事のように、熱い思いは持ちつつも、経営視点から現場の課題を冷徹に見つめ、手堅く解決策を繰り出していく人材が一層求められている。

以上、外野からの押しかけ来賓挨拶でした。

 

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