PCR検査の“キャパオーバー”説は本当か?専門家に聞いてみた

2000〜3000円ほどの民間検査の活用も広がる
ライター
  • 東京都の新規感染者数に対し検査のキャパオーバーを指摘する声
  • 感染症対策コンサルタントの堀成美氏はキャパオーバー説は「考えられない」
  • 比較的安価な民間の検査機関を活用も広まっている

東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数の増加が止まらない。きのう16日の発表は月曜として最多の2962人。13日には過去最多の5773人となっており、感染拡大への懸念が続いている。こうした中で、“東京都は検査能力の限界に達しているのではないか”との声も上がり始めた。速度メーターで例えるなら、針が振り切れた状態になっているではという指摘だが、実際はどうなのか。看護師で感染症対策コンサルタントの堀成美氏に話を聞いた。

komta/iStock

堀氏は早速こう説明する。

現状、PCR検査がキャパシティーオーバーになっているとは考えられません。今のところ検査を受ける選択肢は複数あり、検査を受けられない状況にはなっていません

だが、昨年コロナ感染が急拡大した時期には、一部の地域でPCR検査に時間を要するケースもあったという。

去年は試薬が枯渇しかけたり、使い捨てのピペット(医療用のスポイト)の部品の一部が手に入りにくくなるなどの状況があった。ただ、それも全体のなかでは一部に過ぎず、現在は解消しています

医療崩壊が叫ばれるなか、医療機関でPCR検査がどのように実施されているかはなかなか素人には分からず、“もしや上限に達しているのでは”と懸念してしまう人がいるのだろう。だが、仮にそうであれば、「PCR検査を受けられなかった」という声がツイッターをはじめ、メディアで多数流れるはずだ。

「駅前検査」は診断ではない

現在、発熱などの症状があってコロナ感染の疑いがあると医師が判断した場合は、保険適用となり、自己負担なしで検査を受けられる。一方。症状がない場合は自費診療となり、医療機関では2〜3万円と高額な費用がかかる。

3000円程度で駅前などで受けられるPCR検査センターもあるが、無症状者が使うことには問題がなく、安いから悪いということではないという。

筆者撮影

東京都内では、「木下グループ」、「東亜産業」などの企業が、PCR検査を実施している。いつも大行列をなしているイメージがあったが、私(筆者)は深夜0時30分の枠を予約したところ、並ぶことなくスムーズに検査を受けられた。スタッフの話では「日中はかなり並ぶが、早朝と深夜は比較的空いている」とのことだった。

こうした民間の検査機関では、検査結果を「低リスク」「高リスク」などと提示されるが、医師による診断ではない。

診断ができるのは医師だけです。民間の検査期間は医師が介在していないので、安価にできるわけです

民間の検査機関の陽性反応は保健所に届ける義務がないため、日々発表される感染者数にはカウントされない。ただ、「高リスク」と判断されれば医療機関を受診する人がほとんどなので、医療機関から保健所に発生届が出されれば、統計としてカウントされる。

PCR検査は絶対ではないとはいえ、検査結果が「低リスク」と出れば、一安心はできる。無症状であっても、一度ぐらい受けておいても良いのかもしれない。

 

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