NFTの購入目的は「金儲け・自慢・仲間作り」に大別される(連載:後編)
NFT愛好家は「バブルは年内には終わる」と予測- 保有するNFTの資産価値が数十倍に上昇した愛好家に話を聞いた
- NFTの購入目的は「投資」だけでなく、「ステータス」「仲間」も
- 上半期バブル状態だったNFT市場について「年内には終わる」と予測
2021年のトレンドワードとなったNFT。NFT愛好家の「そんぷ〜」さん(ツイッター: @songpu_eth)は、今年はじめ頃から少しずつNFTのアート作品を買い集めた結果、資産価値が数十倍に膨らんだという(NFTについての分かりやすい説明は前回記事を参照)。
「最初にNFTという言葉を聞いたのは2017年ごろで、『クリプトキティーズ』という猫のキャラクターを使ったゲームが出てきた頃です」(そんぷ〜さん、以下同)
その後、2021年はじめ頃からNFTに注目が集まり、そんぷ〜さんも買い始めたという。
「最初はHashmasks(ハッシュマスクス)というアート作品を買いました。所定の条件をクリアすれば、自分の買った作品の名前を変える命名権が手に入るので、面白いなと思ったんです」
どうやって買ったのか。
「NFTアートの多くは、『OpenSea(オープンシー)』というサイトで取り引きされています。NFT専用のアマゾンや楽天のようなものです。ビットコインではなく、イーサリアムという仮想通貨で購入するのが一般的です。ただ、イーサリアムは手数料が高いので、マティックという別の仮想通貨を使う人もいます。ちなみに、手数料は『ガス代』とも呼ばれています」
OpenSeaのページ上ではさまざまなデジタルアートが並んでいるが、アート作品は購入したあと、時代とともに価値が変動する。一攫千金を狙う投機の対象となっているのは、このためだ。だが、そんぷ〜さんによると、NFTアートを購入する目的は、投資に限らない。
「NFTを買う目的は投資・ステータス作り・仲間作りの3つに大別できます。1つ1000万円の作品であったり、数量限定のレアモデルを持っていることが自身のプロフィール欄などで証明できるので、それがステータスになるんです。周囲に自慢でき、あの人はスゴいと思ってもらえるわけです」
NFTでパクツイ防止?
NFT=ネット上の壮大なビックリマンシールと考えると、分かりやすい。キラと呼ばれるレアなシールを持っていれば、周囲からは一目を置かれる。売ろうと思えば、高値で売れる。同じシールを持っている者同士は親近感が湧き、共通の話題を広げやすい。「キラシールの会」のようなものが、NFT市場にも多数存在するのだ。ゆえに、NFTを仲間作りに活用している人も多いという。
「NFTを使ったアート作品のなかには、1000点限定、1万点限定など、数量が限られているものも多数あります。そうすると、同じ作品を購入した人同士でネット上にコミュニティができ、クローズドなSNS上で交流したり情報交換したりできるんです。普段接する機会のない著名人とも、NFTを通じて交流できる場合もある。Discord(ディスコード)という、ゲーマー向けのSNSを使うことが多いです」
今年上半期〜夏頃にかけては、NFT市場はバブルに近い状態で、アート作品は全体的に値上がり傾向だったという。一攫千金を目論む人々も、多数集まっていた。
「明らかに異常な状態だったと思います。冷静に考えれば、何百万、何千万円という価値があるアート作品は全体の一握りのはず。年内ぐらいには、バブルは弾けるんじゃないですかね。そうしたら、90%以上のNFTは価値が暴落すると思います」
そんぷ〜さんは、オンラインゲーム「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」のゲームの世界のなかでも、いくつか土地を持っているという。その土地は、NFT技術によってそんぷ〜さんの所有する唯一無二の存在だと証明されている。だが、例えばの話、ゲーム会社が倒産したら、その土地はどうなるのだろうか。
「いやー、さすがにその時はゼロになっちゃうんじゃないのかな!」
あるいは、ゲームを遊ぶ人がいなくなれば、ゲーム内のアイテムや土地も価値を失ってしまう。
とはいえ、唯一無二を証明できるNFT技術は、今後は不動産登記などの商取引に活用することも期待できる。ネット上でのパクリ防止にも役立つので、パクツイ防止にもなるかもしれない。実際、ツイッター創業者のつぶやいた「世界で最初のツイート」は、NFTで唯一性が証明され、オークションで約3億円の値段が付いた。
複製と拡散だらけのネット空間に“唯一性”を証明するNFTが広まれば、ネット空間はより現実世界と近いものになるのかもしれない。
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