NFTって要するに何?愛好家にイロハのイから聞いてみた(連載:前編)
ネット空間で「唯一無二」を証明する技術- NFTは「証明書付きのデジタルデータ」を指し、唯一性を証明する技術
- 唯一無二であると証明できるため、イラストなどの芸術作品と相性が良い
- NFTはすべて「1点モノ」なので価値が変動し、投資の対象となる
最近のトレンドワードとして「NFT」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。日本では今年はじめ頃から急速に広まった言葉だが、「正直よく分からん!」という人も多いはず。筆者(私)もその一人だ。NFTとはどういうもので、何がスゴイのか。NFT愛好家として海外生活を続ける「そんぷ〜」さん(ツイッター: @songpu_eth)に話を聞いた。
「NFTとは?」とネット検索すると「非代替性トークン」、「ブロックチェーン」、「デジタル台帳」などの専門用語が連発する。さまざまな定義の仕方があるのだろうが、そんぷ〜さんはこう説明する。
「『証明書付きのデジタルデータ』と考えると分かりやすい。この世に唯一無二の存在だと、ネット上の証明書で確認できるのです」
文章、写真、動画、イラスト、音楽、ゲームなど、ネット上でやり取りできるものはすべて「デジタルデータ」に含まれる。従来、ネット上のデータはいくらでも複製が可能で、オリジナルと複製の区別が付けられなかった。ツイッター上の写真やイラストはいくらでもコピー可能で、しかも、原作者の作ったものと区別ができなかった。
NFT技術を使うと、オリジナルのデータに対して「これは複製ではなく、唯一無二のオリジナルである」という目印をつけることができる。デジカメで撮影した写真や、パソコンなどで作ったイラストに対して、オリジナルだと証明できるのだ。
絵画でも原画と複製ではまったく価値が違うし、アイドル写真も一点ものの生写真には、高値が付く。NFT技術があれば、これと同じことがデジタルデータの写真やイラストでも起きるのだ。
唯一無二だから価値がある
「NFTで起きることは、『データのモノ化』とも言われています。この世界にあるモノは、たとえば大量生産されたユニクロのTシャツやコカコーラの瓶であっても、ひとつひとつ“別のモノ”ですよね。シリアルナンバーが入っていなかったとしても、見た目がまったく同じであっても、現実世界のモノには常に“非代替性がある”と言えるのです」
NFTは「non-fungible token」の略だが、fungibleは「交換可能」を意味し、tokenは「目印」を意味する。分かりやすく訳すなら、「NFT=交換できない目印」となる。目印はネット空間の台帳(デジタル台帳)に記録されており、改竄されることはない。改竄させないための技術がブロックチェーンと呼ばれるもので、文字通り、鎖のようにデータと台帳を紐付けることができる。
NFTは「唯一無二であることを示す証明書」なので、アートの世界と非常に相性が良い。現在、NFTで投資の対象となっているものの多くは、デジタルアートだ。デジタルアートは、「パソコンなどで作った芸術作品全般」を指し、具体的にはイラストや立体画像などを指す。ピカソの絵の値段が上がったり下がったりするのと同様に、デジタルアートの価値も、上がったり下がったりする。ゆえに、投資として成立する。
「アート作品のほかには、ネットゲームの世界のなかでの武器や土地、キャラクターを売り買いすることもあります。これもすべてNFTによって“唯一無二”が証明されているから成立するんです」
NFTで唯一性が証明されたアート作品も、スクリーンショットなどで複製することはもちろん可能だ。その場合、見た目的にはオリジナルもコピーもまったく変わらない。だが、それは単なるコピーであり、唯一無二のオリジナルとしての価値はない。NFT投資が盛り上がる背景には、“オリジナルこそが本物であり、コピーに価値はない”という人間心理が大きく関係しているに違いない。
(後編につづく)
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