50万円以上も覚悟を!私立小学校の「寄付金」事情

金額だけでは合否に影響しない?
2021年10月03日 06:00
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営エキスパートアドバイザー
  • 私立小学校の寄附金の目安額は学校間で幅。1万円から50万円以上まで
  • 寄付金の使途は設備拡充や教育活動に。学年別では1年生での寄附金が高額
  • 寄附金は小学校受験の合否を左右するのか?かつては噂もあったが…

これまでの連載で、小学校受験にはさまざまなお金がかかることをご紹介してきました。大部分は幼児教室の授業料、そしてこの時期には直前講習や個別指導などの出費ですが、出費の波はそれで終わりではありません。合格を勝ち取った後にかかるお金も、公立の小学校とは桁違いです。

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30~50万円以上も珍しくない

特に大きいのが入学金や施設設備費、そして寄附金です。ほとんどの私立小学校は、寄附金を募ります。入学金や施設設備費は合格後に入学手続きをする際に払い込むのに対して、寄附金はすぐには納入を求められませんが、入学式を待たずに募集を始める学校もあります。入学手続きや入学までの準備は受験とはまた違った忙しさが待ち受けていますから、寄附金にどれくらい用意しておくかも早めに検討しておくとスムーズです。

寄付は任意で、強制ではありません。ただ、ほとんどの小学校では募集要項に寄附金について記載されていますから、入学する学校には寄附金を納めるものと考えておくのが一般的です。金額にも決まりはありませんが、多くの学校は目安の金額を明示しています。

目安額は学校によって大幅な幅があります。1口1万円、1口以上というところもあれば、1口10万円や20万円で1口以上、なかには1口50万円という学校もあります。入学金や授業料よりも個別差が大きく、一概に学費が高い学校で寄附金が高いということでもなさそうです。学費が比較的安いと思っていたら、寄附金が高いということもよくあります。

また、一部の学校は寄附金とは別に「学校債」への出資を募るところもあります。債券のひとつで、学校が出資者からお金を借りて、満期に返還するものです。寄附金とは違って満期になればお金が戻り、利息もつきます。額面は10万円単位が一般的。満期までの期間、利息は学校や募集時期によって異なります。

寄附金は設備拡充や教育活動に

学校への寄附金は、施設の拡充や教育プログラムの開発運営、ICT設備の導入といった経費に充てられます。「教育活動支援基金」のように使い道を事前に明確にしたり、「創立100周年記念募金」のように期間を限定して募集されることもあります。

こうした寄付金が学校運営全体に占める割合は、それほど大きくはありません。一般的に学校の運営財源の大半は、入学金や授業料など生徒からの納付金が担っています。また、国・都道府県の補助金もあります。しかし東京都の場合、私立小学校の収入に占める補助金の割合は約22%で、中学校・高校に比べて少ないのが実情です※1

生徒ひとりあたりでみると、国・都道府県の補助金は年間で約33万円※2。近年は1人1台のパソコンやタブレット端末を整備する「GIGAスクール構想」や、コロナ禍でのオンライン授業や校内消毒、検温への対応、学習指導要領の改定の度に多様化するカリキュラムへの対応など、学校に求められるコストはますます重くなってきています。教育の独自性や先進性を追究する学校でさらにコストが必要となれば、授業料や補助金だけではゆとりがないことは想像に難くありません。保護者からの寄附金は、子どもたちの豊かな学びを支える重要な資金源なのでしょう。

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なお、国立にも寄附金はあります。国立の小学校は大学の附属校として、運営の財源を大学から配分されています。しかし国立大学は2004年の独立行政法人化以来、国からの運営費交付金が減少しており、どこも経営が厳しいといわれています。そのため附属小学校への運営費の割り当ても減少傾向にあるため、国立の小学校でも毎年寄附金の募集が行われるところは珍しくありません。金額の目安は1口1万円からなどと高額ではありませんが、寄附金がないわけではないのです。

また寄附金とは別に、保護者や卒業生保護者による後援会という形で学校運営を支援している場合もあります。加入は任意ですが、後援会への入会金や年会費が数万円から数十万円という学校もあります。

寄付で合格に有利になるのか?

寄附金は任意とはいえ、ご縁をいただいた学校の運営やわが子の教育に関わるお金となれば納める人が多いようです。とはいえ、いくら寄付するかは迷いそうです。

文部科学省の「子供の学習費調査」をみると、私立小学校の寄付金額は全国平均で年間約15,000円。学年別に見ると小学1年生が約57,000円と圧倒的に高く、2年生以降は平均数千円です。受験の募集要項に寄附金について明記されていることもあり、入学前からお金を準備している人が多いのでしょう。親子共々に幾多の苦労を重ねて合格を勝ち取った直後ですから、奮発するご家庭もあるはずです。

寄附金を納入する時期は入学後の4~5月頃、納入用紙や案内書類が配られてからが一般的です。しかし、在校生に限らず卒業生や一般からも広く寄付を募っている場合、受験前にも寄付は可能です。わが子を自分の母校へ受験させるようなケースでは、卒業生として寄付をすれば受験時に有利になると考えることもあるかもしれません。

実際に寄付の有無や金額が合否に影響するかどうかは、当然ながらどこの学校も一切公表していません。むしろ一部の学校では、家族や関係者が受験を予定している年には寄付を控えるよう呼びかけています。かつては受験の面接時に、寄付金をいくら納入できるか聞かれる、いくら以上の人が有利になるといった噂が広まる学校もありましたが、社会全体でコンプライアンス意識が高まった昨今は、寄付が合否に直結するとは考えにくいように思います。晴れて入学した暁に納めるお金として、わが子の学校生活を思い描きながら準備しておくといいかもしれませんね。

【参考サイト】
※1 東京都生活文化局「私立学校の収入と支出はどうなっているの」
※2 文部科学省 高等教育局 私学部私学助成課 令和2年10月「私学助成について」

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営エキスパートアドバイザー

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