株式市場のコンビニ化!アメリカで「24時間取引所」開設の動き

「仮想通貨」普及が背景、日本でもPTSの動き

仮想通貨が普及することで株式投資への意識も変わっているようだ。アメリカで、その名もズバリ「24 Exchange(トウェンティーフォー・エクスチェンジ)」というスタートアップが同国内で初となる24時間の証券取引所開設をめざしていることが注目されつつある。

24Exchange公式サイトより

6日付のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、同社が開設認可取得に向け、今月4日に米証券取引委員会(SEC)に運営に関する仕組みを説明した書類を提出したと報じた。

アメリカの株式取引時間は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)では、米東部時間の平日朝9時30分から16時に行われ、週末や祝日は休みになっている。24 Exchangeのドミトリ・ガリノフCEOはWSJのインタビューに対し、「週末に大きなニュースがあった場合、取引を試みることはできるが、実際にはできない」と述べ、株取引の世界に新風を吹かせる意図を語った。同社は2019年に設立、すでに為替市場や仮想通貨の取引を扱っており、年中無休でマーケットが動いている仮想通貨取引の動きからも、株式市場にも同様のニーズがあるとの見立てのようだ。

東京証券取引所(winhorse/iStock)

日本の株式市場は、東証の開設時間が現物株が午前9時から11時30分(前場)と、午後0時30分から午後3時(後場)の計5時間。NYSEやNASDAQと比べても短い上に、昼休みもあるため、取引の活性化を求める意見から取引時間の拡大が過去20年ほど議論され、昼休みの廃止や夜間取引を提唱する動きもあった。

業界的には、会社員などの個人投資家のユーザーを増やしてきたネット証券会社が、会社員が勤務時間外で取引しやすくなるよう、夜間取引時間の拡大に熱心とされる。しかし一部の在来型の証券会社から「一部の個人投資家しか参加しなくなれば、投資判断が偏って株価に影響が出る」という趣旨の反対論もあるようだ。逆に早朝にNYSEの取引終了に合わせて、東証の取引時間を早朝に前倒しする案については、業界関係者の早朝出勤など激務化は必至で、このあたりも大きな慎重な動きにつながっているようだ。

ただし、日本では証券取引所と別に、2つのPTS(私設取引所)が存在し、ジャパンネクストPTSでは、東証が閉まっている早朝の8時20分から始動し、日中は16時まで。夕方は16時30分から深夜23時59分まで現物取引も可能だ。東証は昨年10月にシステム障害で取引を終日停止した事故も発生。日本の株式市場では、取引手段の多様化が長年の課題になっており、SBIホールディングスが三井住友フィナンシャルグループとのタッグで、来春に向け、PTS「大阪デジタルエクスチェンジ」の開設準備が進んでいる。

いずれにせよ、現物株取引の24時間化が実現した場合、「24 Exchange」による取引所は、世界的にも極めて異例なのは間違いない。しかしリンクドインに掲出された同社のページによると、社員数は50人ほどの小所帯なスタートアップ。壮大な構想実現へ、かなり野心的な挑戦なのは確かで、成否が注目される。

 

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