「二重国籍」騒動、河野太郎氏がブログで真意「議論する余地がある」

波紋呼ぶも「選挙の立候補」は除外

自民党の河野太郎衆院議員が15日ブログを更新し、ここ数日、ネット上で騒ぎになっている自身のテレビでの二重国籍に関する発言について真意を説明した。

河野氏(行革担当相時代の21年7月、政府インターネットテレビ)

日本の国籍制度は現在、原則として他国との多重国籍を認めていない。河野氏は年明けの報道番組で「多重国籍」についての見解を尋ねられ、「22歳でどちらか(の国籍)を選べというのは今の現実に合わなくなってきている」などと述べたことで、多重国籍や移民に反対するネットの保守層が猛反発。テレビで発言中の動画が切り取られて拡散し、河野氏に対し、「売国奴」などと罵る人まで出る騒ぎとなっている。

ブログでは「ネット上で、私のメディアでのインタビューを悪意を持って改竄し、拡散している人がいるようですので、私の真意をお伝えしたいと思います」と切り出した上で、日本では新婚カップルの27組に1組が国際結婚であることや、多重国籍に生まれた子どもが22歳までに日本か外国籍かを選ばなければならない現状について説明。

その上で河野氏は「両親のそれぞれの国籍と文化を受け継いで育った子どもが、どちらかの国籍を選択し、他方を放棄することを迫られている現状を改める余地があるのではないかと私は思っています」と持論を改めて述べた上で、

二重国籍を認めていない国(中国やインドなど)や兵役の義務が課せられている国(韓国やイスラエルなど)を除いた国々の、両系血統主義で得た子どもの国籍を、22歳以上になっても保有することを認めていくべきではないでしょうか。

この他に、アメリカのような出生地主義の国で生まれたことにより国籍を得た場合や、優れた業績を持つ研究者などが研究などの都合などで他国の国籍を得た場合に、国籍の選択を迫ったり、日本の国籍の放棄を義務づけたりすることについても、議論する余地があるのではないかと思います。

など、ケースによっては現行の国籍制度をもう少し柔軟にすべきとの考えを明らかにした。

蓮舫問題念頭?立候補者は「他国籍放棄」

多重国籍問題を巡っては、2016年秋、台湾人の父と日本人の母を持つ蓮舫参院議員の二重国籍が発覚し、社会的に議論を呼んだ。河野氏は「蓮舫事件」を念頭に置いたのかはわからないものの、「他国の国籍も保有しているものが選挙に立候補したり、閣僚や裁判官などに任命される場合などに、他国の国籍の放棄を義務づけるということは必要でしょう」と、公職については多重国籍を認めないことを強調。「コロナ禍で、日本の内向きの状況がさらに加速する中で、国際的な日本の立ち位置をしっかりと考えていく必要があると思います」と結んだ。

今回の河野氏の発言に対し、一部のネット右派の間で「本性表した」「この人が首相になったら、中国や韓国との二重国籍を持つ政治家が増える」などの非難が巻き起こったが、中華人民共和国は二重国籍を認めておらず、また、河野氏自身は古くからこの問題に取り組んでいることが知られていないようだ。

河野氏は2006年、国籍問題のプロジェクトチームの座長を務め、ブログには過去何度も国籍問題を取り上げている。08年には「座長私案」として、「日本国籍を持つ者が他の国籍をあわせて保持することを認める」との変更案を示した上で、「皇族、国会議員、大臣、外交官、自衛隊の士官、判事は日本以外の国籍を保持することはできない」などの条件も設定している。

オーストラリアのように、多重国籍を認めつつも、国会議員の多重国籍は法的に禁止されている国もあり、河野氏の考えはこれに近いと見られ、野放図な多重国籍解禁論とは異なると言える。

 

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