五輪は中国に乗っ取られている?IOC広報部長「彭帥さん問題について我々は判断できない」

対照的にWTA会長「私たちの懸念を軽減するものではない」とズバリ
ライター
  • 失踪していた中国女子プロテニス選手の彭帥さんがバッハ会長と面会
  • IOC広報部長は問題について「IOCが判断できることではない」と明言
  • 中国人識者は「彭帥さん当局に言われた通りの発言をしている」と解説

昨年11月、中国の元副首相に性的関係を迫られたとSNSで告白した後、一時行方不明となったプロテニス選手の彭帥さんの動向が北京オリンピックの最中に再び注目されている。彭帥さんが不自由を強いられていないか国際社会の懸念が強まる中、やたらに“健在”ぶりをアピールする様子にさまざまな疑念がつきまとっている。

国際オリンピック委員会(IOC)は7日、彭帥さんがバッハ会長と5日に面会していたことを発表した。発表によると、彭帥さんは北京五輪の会場内で夕食を取りながらバッハ会長らと会い、五輪選手として経験したことなどについてそれぞれ語り合ったという。

IOCのマーク・アダムス広報部長は7日、会見の場で彭帥さんは自由な状態なのかと記者に問われると、こう答えた。

「その件については、IOCが判断できることではありません

「我々はスポーツ団体として彭帥さんが幸福であるよう最善を尽くしていますが、その件について我々があれこれ判断することはできないと考えています

一方、女子テニス協会(WTA)スティーブ・サイモン会長は同日、

「最近のインタビューは、昨年11月2日の彼女の最初の投稿に対する私たちの懸念を軽減するものではない。繰り返しになるが、彼女は中国政府の元高官から性的暴行を受けたという告発を公にすることで、勇気ある一歩を踏み出した

との声明を出した。中国政府の肩を持つような言動を繰り返しているバッハ会長とは、大きく様相が異なる。IOCとオリンピックは、もはや中国に乗っ取られてしまったかのようだ。

仏紙・レキップは7日、彭帥さんの独占インタビューを掲載。紙面上で、彭帥さんは現役引退を表明するとともに、政府高官からの性的暴行について完全否定した。

中国の人権問題に詳しい米国在住の弁護士、滕彪(タン・ビャオ)氏は、この問題について、

「過去に人権派弁護士や外国人がテレビの前で反省を強要されたのとよく似ている。巨大な圧力をかけられ、当局に言われた通りの発言をしている

「彭帥さんは強制的に失踪させられ、今は強制的に公の場に出ている。誰と一緒だろうと、発言はコントロールされているに違いない

などと一連の事態を読み解いていた。

また、海外在住の中国人と思われるアカウントは、

「暴露する前に中国国外に逃げていれば、状況はまったく違うものになっていただろう。中国には今なお、彭帥さんと同じような立場の人が大勢いる」

とツイートしていた。

彭帥さんは8日、フリースタイルスキー女子ビッグエア決勝の会場に姿を見せ、バッハ会長と観戦した。これも「演出」の一環なのだろう。連日熱戦が繰り広げられる裏で、IOCと中国政府に対する疑念は深まるばかりである。

 

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