なぜ「小さな政府論者」は仮想通貨が好きなのか?

特集「ブロックチェーンは国や社会を変えるか?」#1
2021年05月25日 06:01
ジャーナリスト/SAKISIRU副編集長
  • ビットコインのもとになるブロックチェーンは社会をどう劇的に変えるのか
  • 仮想通貨の推進者に「小さな政府論者」が多いとみられるのはなぜか?
  • 「仮想通貨がフリードリヒ・ハイエクの思想を体現」と評する人も。その理由

ビットコインがちょっとした発言で値段が激しく乱高下する様は、いかにも危険なマネーゲームのように映る。しかし、こうしたビットコインの技術のもととなるブロックチェーンそのものは、そのイメージとは裏腹に透明性に満ちた「信用創出の技術」の仕組みだ。

ブロックチェーンはこれから、既存の社会をどう変えるのか。いま、我々の気づかないところでプロジェクトは着々と進められている--。

dulezidar / iStock
dulezidar / iStock

「小さな政府」主義者が好む仮想通貨

「本当に彼らはブッ飛んでいるのです。仮想通貨の交換所ですら将来的には無人になると。自動販売機のように、すべての取引は自動化できるというのです」(BTCBOX編集部の古田雄一氏。以下同)

BTCBOXは日本に所在する仮想通貨交換所が運営する通貨専門メディア。記事にはマイクロストラテジー社のマイケル・セイラー氏など、世界の仮想通貨界の著名なパイオニア達が続々と登場する。日本語と並行して英語版の記事を配信しているために、世界中に読者がいる。クリプト界の大物にも知られているため、ツイッターで連絡すれば、取材を受けてくれることも多いという。「この世界にいる人は、グローバルで国境の感覚というのがそもそも薄いかもしれませんね」編集部員も世界にいるそうで、日本を本拠地とするメディアながら世界との距離感覚がとても近い。

「クリプト(仮想通貨)の牽引役としてコミットメントしているのは、著名な経済学者や起業家たち。経済学者は経済的な観点で貨幣論を語り、起業家たちは新しいブロックチェーン技術の可能性を語ったりするわけですが、彼らの一つ共通点をあげるとすれば、みな“小さな政府論者”だということです

なぜクリプトに惹かれ集まる人々に、「小さな政府論者」が多いのだろうか。そもそも、政治思想とブロックチェーンとの間には、一体どういった関連性があるのだろうか。

仮想通貨がハイエク思想を体現?

フリードリヒ・ハイエク(1899年〜1992年:Mises Institute Creative Commons)

最近、ビットコインなどの仮想通貨は、自由主義思想家フリードリヒ・ハイエクの思想を体現したものではないか、と評する人が増えている。ハイエクは自著『貨幣発行自由化論』で「経済の不安定性の元凶は、通貨発行の国家独占にあり、その自由化が通過価値と経済の安定をもたらす」と訴えた。国を超えた貨幣の自由競争が必要であるとし、「良貨が悪幣を駆逐する」とも主張する。通貨の選択肢が増えると、最終的には役に立ついいものだけが残るというわけだ。

ハイエクの主張は貨幣のあり方だけに留まらない。小さな政府主義者として、ケインズと対比される存在でもある。ハイエクは著書『隷属への道』(The Road to the Serfdom)で、「経済活動が政治権力の監督化に入り、自由に操縦されるようになれば、国民は奴隷とほとんど変わらないような隷従のもとにおかれるだろう」と予言した。

ブロックチェーンの仕組みも、通貨に留まらない。ブロックチェーンは(DAO)分散型台帳技術という、自律分散型の仕組みをとっているが、これが現在の産業構造の合理化し、無駄を最小限に変えることが期待されている。特にこれまで組織における仕事の大半を占めていた“管理”的なものは、ブロックチェーンに置き換わる可能性があるのだ。

(#2に続く)

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でSAKISIRUをフォローしよう!

ジャーナリスト/SAKISIRU副編集長

関連記事

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事