「岸田版 仕事人内閣」!? 保守派は浜田防衛相に発狂、改革派は河野デジタル相歓迎

“岩盤保守層”の反応、菅政権発足時と相似形?
SAKISIRU編集長
  • 岸田首相の内閣改造・党役員人事が固まる
  • 下馬評とは異なる人選も。防衛相に浜田靖一氏復帰、デジタル相に河野太郎氏…
  • 保守層の冷めた反応を見ていると、菅内閣発足時を彷彿

岸田首相による内閣改造・党役員人事が9日固まった。人事を前倒ししてから、政権中枢の思惑や派閥間の利害、新体制の顔ぶれ予測で巷間さまざまな情報が乱れ飛んだが、蓋を開けてみれば、「人事だけ得意」という評判の岸田首相や周辺なりに苦心した末に、実務志向で固めたというのが第一印象だ。

画像出典:官邸サイト(7/29、政府与党政策懇談会)

アテにならない「巷の噂」

それにしても「巷の噂」はアテにならない。昨日のお昼過ぎ、ベテラン秘書から組閣人事リストらしきものが出回っているのをもらったのだが、“初入閣”の顔ぶれとして、台湾情勢で即戦力が必要な防衛相には寺田稔衆院議員、デジタル相には平将明衆院議員、少子化相に三原じゅん子参院議員、消費者相に永岡桂子衆院議員などの名前が挙がっていた。

そこそこリアリティがあったので、リストをくれた人には「これ確定版ですか」とつい尋ねてしまった。なお、リストの出元は朝日系のメディアから出てきたものだというから、そりゃいい加減だ(笑)。

平氏、三原氏の入閣見送りは、仕事ぶりを見てみたかったので残念ではある。永岡氏は文科相に回った。

また、広島5区選出の寺田氏は財務官僚出身ながら主計官時代には防衛予算を担当。第1次安倍政権で防衛政務官を務めるなど防衛行政に明るい。それでいて池田勇人元首相の娘婿、池田行彦氏の縁者にあたるなど“バリバリの宏池会議員”でもあるわけだから、岸田首相にとっては格好の防衛相候補だ。実際、保守層で推していた高市早苗政調会長や小野寺五典衆院議員らと共にネットで名前が取り沙汰されていたが、ポストは総務相に落ち着いた。

注目の防衛相人事

浜田靖一氏(自民党サイト)

その防衛相人事、筆者は2度防衛相を務めた小野寺氏が妥当には思っていたが、同じ防衛相経験者である浜田靖一衆院議員が指名されるという“通好み”の人選となった。周知のようにあのハマコーこと、浜田幸一元衆院議員の長男だ。ただ、コワモテだった父の印象とは裏腹に保守層の受けは良くない。

選択的夫婦別姓の推進論者であり、「“媚中”福田達夫氏よりはよかったという程度」(門田隆将氏)などと散々だ。特に保守層がいまでも恨んでいるのは、麻生政権での前回の防衛相在任中、「日中戦争は侵略戦争ではない」などの論文を発表した航空幕僚長(当時)の田母神俊雄氏を更迭したことだろう。

しかし田母神氏個人の思想信条とは別に、現職の空自トップが当時の政府見解と明らかに異なる考えを公に示すことは文民統制の観点からしても好ましくはなく、仮に浜田氏よりタカ派志向の人物が防衛相だったとしても守り切れたかは疑わしい。

別に筆者は浜田氏について可もなく不可もなくフラットに見ているに過ぎないが、防衛相時代の業績についてファクトだけを示すと、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対し破壊措置命令を下し、各国に要請があったアフリカ・ソマリア沖の海賊対処に自衛隊艦船が派遣できるよう法整備をした経緯がある。

河野氏“復帰”のサプライズ

河野太郎氏(官邸サイト)

他方、河野太郎衆院議員がデジタル相として閣僚側に戻ってくる話は、前述の怪しいリストを含めて事前に取り沙汰されておらず、筆者も一報には少し驚いた。総裁選で岸田氏と対峙したこともあり、このまま冷や飯を食うのではないかと思っていたからだ。

詳しい裏事情は知らないが、副総理などの要職起用が取り沙汰された菅前首相がここにきて閣内や執行部に入らないことを明言したことと関係があるのだろうか。菅氏の“秘蔵っ子”である河野氏を取り込むことで菅グループの政局的な動きを沈静化させたい狙いを感じなくもない。また国民的に人気があるので政権浮揚の材料にしたい事情もありそうだ。

河野氏は自民党総裁選の時から、高市氏を推していた“岩盤保守層”からかつての石破茂氏並みに嫌悪される存在になってしまった。しかし、霞が関のDXは省庁の縦割りや旧態とした体質を排して横串を刺していく突破力が求められることを考えると、ワクチン担当相時代に象徴されるパワープレイヤーは適任だろう。筆者の周りを見ても、菅政権を支持していた改革志向の人たちから早くも歓迎の声が上がっている。

「落合野球」「仕事人内閣」…

河野氏や浜田氏への保守層の反応を見ていると、菅政権が発足した時の冷めたものを再び見ているようにも思う。ただ、ツイッターであるネット民が筆者に対し、今回の人事をプロ野球に例えて「落合野球」と評する向きもあり、なかなか絶妙で思わず膝を打った。落合監督時代の中日ドラゴンズは8年間のうち、日本一1度、リーグ優勝4度、それ以外のシーズンも全てAクラスに入るという結果を出しまくったものの、手堅い戦術ぶりの反面、面白みを欠いたと思われてか観客動員にまではつながらなかった。

落合監督と同じ秋田出身の菅氏の政権も実務志向だった。在任中は新型コロナの感染者数が拡大したこともあって支持率が落ち込んだが、退任後、ワクチンの大規模接種やDXなど前例のないプロジェクトを敢行した実績が評価され、ようやく認められた経緯があるのと相似形に感じる人は少なくあるまい。

その菅政権、立ち上がりの時は菅氏が「仕事人内閣」と評していたが、今回の岸田改造内閣の顔ぶれを見ていると、同じキャッチコピーが脳裏に浮かぶのは筆者だけだろうか。

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