ドイツの脱原発が“詰んで”しまい、日本の反原発勢力や朝日新聞はどうするの?

今年中に原発全廃のはずが、世論が原発支持の急旋回

今週のエネルギー関連の報道で日本を含めて世界的に話題になったのが、脱原発政策を長年続けてきたドイツで原発を支持する世論が多数派になってきたという現地発の報道だった。

ドイツ・ニーダーザクセン州の原発(RelaxFoto.de /iStock)

緑の党支持者ですら原発賛成に

発端は、ドイツの雑誌「シュピーゲル」による世論調査。今月2〜3日にオンラインで約5,000人を対象に「ドイツが新たな原発を建設すべきか」などを尋ねた。

ドイツが脱原発を進めてこられたのは、ロシア産の天然ガス調達があったからだ。しかしロシアのウクライナ侵攻で欧米各国が制裁に踏み切ったことで、逆にロシア側から7月下旬までに、ドイツとのパイプライン「ノルドストリーム」経由のガス供給を7割削減されるなど、エネルギーの供給に大きな狂いが生じ始めた。

ドイツは国内に残る3つの原発を稼働して対処中だが、今回の調査では、回答者の78%がこの原発稼働の継続に賛成した。特に、急進的な脱原発政策で知られる連立与党の緑の党支持者ですら、前月比30%増の68%も賛成に回ったことが反響を呼び、ドイツ国外のメディアも注目することに。

米ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)は7日、「原発を支持し始めたドイツ人」と題した社説でこの調査を取り上げ、

ドイツの有権者らは、プーチン氏が始めたウクライナ侵略戦争がもたらした打撃や、ドイツ政府が20年かけて進めてきたグリーンエネルギーへの移行計画の失敗によるコストが分かるようになり、現実に目覚めつつある

と論評した。日本でも、日本経済新聞が9日の朝刊で取り上げ、連立の一角を占める緑の党がこの有権者の心変わりに苦慮している政治状況を伝えた。さらにNHKも11日夜の「ニュースウォッチ9」で、「ドイツ・岐路に立つエネルギー戦略」と題した特集を放映。ヨーロッパで脱原発の先頭に立ってきたドイツの苦境が、日本でも一気に知られ始めている。

「ドイツ崇めていた日本の反原発信奉者は…」

日本のツイッターでは

ドイツの現状がけっこう詰んでる

エネルギーのロシアリスクから目を背け、感情論で脱原発の理想を追い続けたメルケルの尻ぬぐいをさせられるショルツ現首相かわいそうよね。

現実の前に「緑系」の洗脳が吹き飛んだ感じでしょうか。ドイツ崇めていた日本の反原発信奉者はどう動くか。

などの反応が相次いだ。

有識者では、エネルギー問題に詳しい元経産省の政策コンサルタント、石川和男氏が7日、「ここまで切羽詰まらないと原子力発電への賛成論が出てこないのは、ドイツの政治がエネルギーに係るリスク管理能力を持ってなかったのと同じ」と厳しく指摘した。

さらにその翌日には「欧州最大の経済大国にして再エネ大国のドイツが、2011年に決めた“2022年の原発ゼロ化”を信じて信じて信じ切って礼賛してきた日本の反原発勢力や朝日新聞や毎日新聞は、これからどう過ごしていくのか、という話」と、皮肉混じりに評した。

作家の橘玲氏は「もはや後戻りできないところまできているのでは」と指摘した。ドイツの原発延長論の高まりは今後、日本にどのような影響を与えるだろうか。

 
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