1回あたり1万円超も…小学校お受験の模擬試験代の費用対効果

単なる「腕試し」以上の意味とは?
2021年06月06日 06:00
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営エキスパートアドバイザー
  • 志望校決定期といわれる年長の5~6月頃から、模擬試験代がかかりがち
  • 小学校受験の模擬試験代は1回あたり8千円~1万円が中心
  • 試験会場で学校の先生に会えることが。情報戦を制する糸口になることも

(編集部より)年間に100万円とも200万円ともいわれる、小学校のお受験にかかるお金。受験対策の幼児教室の他にも、いろいろな費用がかかります。なかでも、志望校決定期といわれる年長の5~6月頃から出費が増えてくるのが模擬試験代です。実際に子どもの小学校受験を経験したFPの加藤梨里さんが、「お受験」の模擬試験の費用と効果について論じます。

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模擬試験代は1回あたり8千円~1万円が中心

小学校受験の対策として行われている模擬試験には大きく分けて、幼児教室が、在籍する生徒向けに教室内で行うものと、一般に公開されているものの2種類があります。

さらに、一般に公開されている模擬試験には、幼児教室が主催するものと、公開模試を専門的に実施・運営する団体が主催するものにわかれます。前者は幼児教室の中で行われ、その教室に通っている内部生に加え、外部からも受験生を受け入れるものです。後者は、大学や小学校など外部の試験会場を借りて、受験生を一般募集して実施します。

受験料はテストの種類によりますが、60分から80分間のテストで1回あたり8千円~1万円程度。志望校別のテストや、入試本番を体験できるテストになると1万円台後半、なかには3万円近くかかるものもあります。

多くの模擬試験は特に年長児向けに実施されていますが、年中児向けもあります。年中向けは年長に比べて試験時間が短く、試験科目が少ないため、受験料が5千円程度のものもあります。

模擬試験の受験料は、中学受験向けでは1回あたり3千円台や4千円台のものも珍しくありません。そう考えると小学校受験向けの模試はいささか割高に感じますが、テストのスタイルが中学以上の受験と全く異なります。ペーパーテストだけでなく、行動観察や口頭試問、運動のテストが含まれる模試では、採点者の目視で一人一人に採点をしてもらえますから、受験料に相応のきめ細かさがあるとも感じます。

本番までに模擬試験代はいくらかかるのか?

では、入試本番までに模擬試験には総額でいくらかかるのか? それは志望校や受験の戦略などによって異なります。幼児教室では、授業の一環として校内模試が行われる場合もありますから、通っている幼児教室やコースによる違いもあります。

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個人的な見解にはなりますが、年長の5月の大型連休から6月頃を境に模擬試験代がかさみ出すご家庭が多いと思います。わが子が定期的に受験していたある統一模試では、年中の3月(年長になる直前)に約1,000人だった受験者数が、年長の5月には1,600人超と一気に増えていました。この時期には、志望校と併願校を決めるのが一般的でもあるため、模試を受けて合格可能性を計る必要性にも迫られます。

そこから本番期まで、かりに5回ほどの模試を受験すると、出費の総額は5~10万円前後と考えられます。受験料の高額なものを繰り返し受ければ、より出費は膨らみます。以前の拙稿「2年間で200万円也 〜 小学校受験にFPがかけたお金」でご紹介した、年間100~200万円という受験費用全体でみるとそれほど大きなボリュームではないですが、冷静にみると侮れない金額です。

上記にあげた「5回」はあくまでも一例で、模擬試験を何回受けて、いくらお金をかけるかには個人差があります。わが家は、スケジュールがパンパンに詰まった年長の夏以降は「模試を取るか、講習を取るか?」でずいぶん迷いました。模擬試験は「場慣れ」するには良い経験ですが、今できていないことをできるようにするのには向いていませんし、模試の成績=入試本番での合否でもないと思うと、あまり何度も受けるのは費用対効果が良くないと考えて、模試をスキップすることもありました。

腕試しだけじゃない、模擬試験のメリット

最終的に、模試を何回受けさせるかはお子さんの習熟度や幼児教室の先生のアドバイスをもとに、ご家庭で判断することになります。とはいえ、お金を出すのは親です。もし節約を重視するなら、在籍している幼児教室が主催する模擬試験を優先するとよいでしょう。内部生や会員は、一般申込よりも受験料が割安です。ある大手幼児教室の模擬試験の場合、会員価格は一般価格の約2割引になっています。

一方で、いつもとは違う幼児教室や公開模試を受けるメリットもあります。

模擬試験を受けるのは、実力を客観的に確認し、合格可能性を把握するのが主な目的ですが、他にもおまけがあります。受験生全体の志望状況や併願状況のデータ、今年の入試動向の予想などの情報です。よく「受験は情報戦」と言われますが、小学校受験も例外ではありません。

子どもたちがテストに取り組んでいる間の待ち時間には、保護者向けの説明会が行われることがあります。そこでは、出題されたテストの解説のほかに、「どんな子が合格するか?」の実例や、小学校の先生の裏話が語られることがあります。

合格実績の豊富な幼児教室や公開模試の運営団体は、国立・私立を問わずさまざまな小学校とのつながりをもっています。そのため、学校の先生が子どもたちに期待しているポイント、今年はどんな子を取りたいと考えているかなど、先生の生の声に近い話を聞けるのです(入試情報の漏洩にあたるような細かい話ではありません)。

幼児教室に通っていれば、日頃の授業などを通して入ってくる情報で十分かもしれませんが、別の幼児教室や公開模試に行ってみると、違った切り口の情報が得られることがあります。

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模試会場には小学校の先生に会えるチャンスも

学校の先生の生の声を聞けることもあります。模擬試験の中には、小学校の先生を招いた学校説明会や講演会が同時開催されるものがあります。特に校長先生のお話は教育理念や子どもたちへの熱い思いが伝わってきて、学校のカラーがよくわかります。

こうした講演は学校選びの参考になりますし、教育の専門家のお話は純粋に、親にとっての勉強になります。わが家の教育方針や子どもとの接し方について、改めて考えるきっかけにもなります。子どもの模擬試験代で、親の学びにもなるのは一石二鳥だと思います。

ほかに、各地の小学校が一斉に集まってブースを出展し、学校パンフレットの配布や個別相談を行うイベントもあります。一日でたくさんの学校巡りができるうえ、学校が主催する説明会よりも気軽に先生や職員の方に接することができるチャンスは、それだけでもお値打ちです。

今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、模擬試験は実施されてもこのようなイベントは中止またはオンライン実施が多いようです。対面のイベントに比べ制約もありますが、それでも、普段の幼児教室の授業にはない情報や気づきを得られるのではないでしょうか。

模擬試験というと、わが子の点数や順位、合格確率など、テストの結果でつい一喜一憂してしまいがち。成績が上がらないと親としてはやきもきしてしまうものですが、子どもがテストをがんばっている時間は、親も学びの場。そのために模擬試験代を払っていると考えると、少し肩の力を抜いて過ごせる気がします。

 

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