仮想通貨イーサリアムが大型アップデート完了!99%以上の消費電力を削減へ

一国並みの電力消費量、世界的な料金高騰で省力化
ライター/SAKISIRU編集部
  • ビットコインに次ぐシェアを握る、イーサリアムが大幅アップデート完了
  • 開発者「世界の電力消費量が 0.2% 削減」、ビットコインは一国並みの消費量
  • イーサリアムのアップデートで仮想通貨は、“クリーン”なものが主流となるか
Dennis Diatel Photography /iStock

仮想通貨でビットコインに次ぐシェアを握る、イーサリアムの大幅アップデートが完了した。イーサリアムの開発者、ヴィタリック・ブテリン氏が15日、「we finalized!(私たちは完成させた!)」とツイートした。

The merge will reduce worldwide electricity consumption by 0.2%.(ザ・マージにより、世界の電力消費量が 0.2% 削減されます)

And we finalized! Happy merge all. This is a big moment for the Ethereum ecosystem. Everyone who helped make the merge happen should feel very proud today.(そして私たちは完成させた!ハッピーマージのすべてを。これは、イーサリアムのエコシステムにとって大きな瞬間です。マージの実現に貢献したすべての人は今日、非常に誇りに思うはずです。)

ビットコイン、電力使用量はオランダ一国並み

イーサリアムは今年に入ってから段階的に、「The Merge(ザ・マージ)」と呼ばれる大型アップグレードを行っていたが、ブテリン氏のツイートは、そのすべてが完了したいう意味だ。

このアップデートにより、イーサリアムは従来までの「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」という仕組みから、「PoS(プルーフ・オブ・ステーク)」という仕組みに切り替わる。

「PoW」は、取引記録の改ざんが極めて難しいというメリットがある一方、マイニング(新しいブロックを生成するための承認作業)によって膨大な電力消費がかかるというデメリットがある。一方、「PoS」は、膨大な電力消費をかけることなく承認作業が進むという点が最大のメリットで、今回のイーサリアムのアップデートの狙いもここにある。

近年はマイニングなどでクリーンエネルギーの利用増加も(Vladimir Kazakov /iStock)

仮想通貨は、マイニングの際に莫大な電力を使い、それにより多くの二酸化炭素を排出することでしばしば批判されてきた。特にシェア1位のビットコインのマイニングでの電力量と二酸化炭素放出量は、一国のそれと同程度だ。

英・ケンブリッジ大学のビットコイン電力消費指数(CBECI)によると、ビットコインに関連した電力使用量は現在、年間で約106テラワット(1兆ワット)に達する。これは、オランダの1年間の電気使用量と同程度だ。

仮想通貨は“クリーン”なものになるか

また、デジタル資産運用会社「コインシェアーズ」が今年2月に発表したリポートで、ビットコインのマイニングによって排出された二酸化炭素の量は、年間42メガトン(1メガトン=100万トン)に上ると推計した。ハンガリーやスウェーデン、ブルガリアなどの二酸化炭素排出量とほぼ同じだ。

もちろん、ビットコインだけではなく、シェア2位のイーサリアムもこれまで、マイニングにかかる電力量の多さに幾度も批判を浴びてきた。仮想通貨の調査サイト「デジコノミスト」によると、イーサリアムのマイニングで使用する電力量は年間72テラワットに上っていた。二酸化炭素排出量は、スイス(約30メガトン)と同程度だった。

イーサリアムの公式サイトによると、今回のアップデートによって、消費電力量を99.95%以上削減。二酸化炭素排出量も99%以上削減できる見込みだという。

世界的な電力料金高騰の中、「資源の無駄遣い」との指摘も根強い仮想通貨のマイニングだが、イーサリアムをきっかけに“クリーン”なものが主流となるか。ビットコインは今のところ、システムを変更する計画はない模様だが、圧倒的なシェアを握るだけに動向は今後より注目されるだろう。

 

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