共同親権問題:エマニュエル大使は、日本の連れ去り問題への対応を議会に約束していた

当時の上院外交委員長「優先事項の一つ」
報道アナリスト/株式会社ソーシャルラボ代表取締役
  • 米国のエマニュエル大使が来日前に連れ去り問題への対応を議会に約束
  • 21年10月の上院外交委指名公聴会。日本のハーグ条約対応が不十分だと論題に
  • 委員長が「優先事項の一つに望む」と述べると、エマニュエル氏は…

同性婚制度の整備などを事実上求めているアメリカのラーム・エマニュエル駐日大使の“内政干渉”に対し、筆者は先日、政治的ハードルの高い同性婚問題よりも、法的に理由のある共同親権問題を優先すべきではと説いたが記事はこちら、来日前に米議会で共同親権問題の直接的な契機である実子誘拐問題への対処を約束していた。

公聴会で発言するエマニュエル氏(上院サイト)

やりとりがあったのは2021年10月20日、エマニュエル氏を大使に承認するのかを決める上院外交委の指名公聴会だ。主なやりとりは当時報道されていたが、クアッドをはじめとする対中外交が中心で、実子誘拐問題についての言及は報道がなく、不明にして気づかなかった。前回の拙稿をお読みになったネット民の方に教示いただいた。この場を借りて感謝申し上げたい。

公聴会の模様は上院のページに動画と会議録がアップされている。実子誘拐の質疑は公聴会の最終盤、ボブ・メネンデス委員長(当時、民主党)が「日本では475 人以上のアメリカ人の子供が誘拐され、アメリカは日本を国際的な実子連れ去り加害のワースト3のトップに挙げている。日本は2014年にハーグ条約に加盟したものの、大きな改善は見られなかった」と現状を挙げる形で、連れ去り問題を切り出した。

日本の実子誘拐問題への対処を迫るメネンデス氏(上院サイト)

そしてメネンデス氏はエマニュエル氏に対し「貴殿が大使に承認され、外交の表舞台に立つとき、アメリカの子どもたちが巻き込まれている中で、我々は貴殿に対し、条約に基づく義務に応えることを期待しているのだと日本政府に理解させることを優先事項の一つにすることを望んでいる」と要求した。

これに対し、エマニュエル氏は「パートナーおよび同盟国として信頼されるために条約に署名した場合は、その条約の原則を支持する必要がある」と応じていた。

ちなみに公聴会の会議録を検索すると、エマニュエル氏が最近ご執心の「LGBT」「同性婚」のやりとりは全く出てこなかった。一方、議会との約束という観点からすれば、エマニュエル氏は日本政府に対し、条約の履行を十分に果たすように要求し、国内法の不備を指摘し、共同親権を原則とする国際基準の制度に変更するよう勧告することは任務として背負っている。

「やるとも言ってないことを熱心にやり、やると約束したことをやってない」と日本で言われるようであれば、本国議会の反応はどうなのだろうか。

(関連記事)エマニュエル大使は同性婚で“内政干渉”するなら、共同親権を先にやるべきだ

 
報道アナリスト/株式会社ソーシャルラボ代表取締役

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