国債と社会保障で税収が消える…「国家の体をなさず」22年概算要求
このままでは社会保障は持続できず- 22年度の概算要求総額は4年連続過去最大規模。自民総裁選もバラマキ政策ばかり
- 「税収+税外収入」は国債費と厚労省予算で消失。藤巻氏「国の体をなさない」
- 日本の社会保険制度は素晴らしいがお金があっての話。このままでは…
財務省が9月7日に発表した2022年度の一般会計予算要求総額は、111兆6559億円と4年連続で過去最大規模になった。予算編成までには、財政に厳しい目を持つ矢野財務次官のもと財務省が刈り込みをするにしても過去最大だった21年度(106兆6097億円)予算を上回ることは確実だろう。単年度の赤字幅は相変わらず巨大ということだ。累積赤字は段トツで世界最悪のまま。それなのに自民党総裁選では河野太郎候補以外の候補者からはさらなるバラマキ政策のオンパレードだ。

収入が借金と再分配に消える
一方の米国では、現在、債券発行額が債務上限枠に達し、上限枠を上げなければデフォルト(財政破綻)を起こしてしまうと、騒いでいる。この件に関して21日付の日経新聞夕刊は「民主党は債務膨張への世論の批判をかわすため」と書いている。日本よりはるかに財政状態のまともな米国では、「債務膨張」を世論が批判するのに、破綻寸前の日本では「ばらまいて債務を膨張させない」と票が取れない。大丈夫か、この国は?と思ってしまう。
脱線するが、債務上限枠が存在すること自体、米国ではMMT(インフレにならない限り、国債発行をし、中央銀行がそれを買い取ることによって国の歳出をファイナンスする)理論などというトンデモ理論を、誰も信じていないことを証明している。ハイパーインフレを引き起こすと歴史が証明しているからだ。
話を戻す。今年度概算要求額のうち国債費が30.2兆円、厚労省の要求が33.9兆円で、この2項目だけで計64.1兆円となる。
一方、「税収+税外収入」は、2021年度が計63.1兆円で、2022年度もそう大きくは変わらないだろう。だとすると、来年度は(というか来年度も)、「税収+税外収入」は、国債費と厚労省予算で消えてしまうことになる。
厚労省予算33.9兆円のうち、年金や医療、介護費用は31兆7791億円で、厚労予算の大部分だが、これらは財政学的には、所得の再分配だ。さらに言えば、(今年度の概算要求額を知らないのだが)地方交付税は例年17兆円前後で、その約3割は老人福祉費、児童福祉費、その他の社会福祉費等(生活保護費を含む)の民生費に充てられる。それがほぼ5兆円。民生費も所得再分配だから、国が所得再分配に充てる額は約37兆円にもなる。
要は、「税収+税外収入」70兆円弱は、「過去の尻ぬぐい(国債費)」の約30兆円と「所得再分配」の40兆円弱に消えてしまうのだ。これで国の体をなしているといえるのだろうか?いつまでもこんな予算を続けられるのだろうか?教育費、防衛費、インフラ整備、未来への投資等は、すべて借金で賄っていることになる。逆に考えれば、教育費、防衛費、未来への投資等を「税収+税外収入」で賄い、再分配の原資は借金に頼っているとも表現できる。ということは、将来、未来世代が我々が作った借金を返すためだけに働くことになるともいえる。

国にお金があっての社会保障
昨今、格差是正が盛んに叫ばれている(だからこその再分配なのだろうが)が、現世代間の再分配のために世代間格差という日本最大の格差を生みだしているのだ。我々、高齢者世代が、蕎麦屋で、若い世代に「勘定を払っておけよ」と勘定書き机の上に残して退店するようなものだ
国の最低限の義務は国民の生命と財産を守ることだ。したがって、真に生きていけない人を助けるセーフテーネットの構築は最重要だ。しかし再分配を至上命題とするのならば社会主義国家となってしまう。
米国では国民皆保険であるオバマケアを作る際、強い反対論が巻き起こった。自助努力を貴(とうと)し、とする国だからだ。オバマケアは結局導入されたが、国が保険料を援助しているのは、低所得者層のごく一部で、大部分の国民は高い保険料を(雇用の会社と共に)自己負担している。
もちろん、今の日本の社会保険制度は素晴らしい。しかし、それはあくまでも国にお金があっての話だ。金が無ければ、いくら駄々をこねても持続不可能だ。
次の世代に負担を押し付け、それで我々世代の社会保障を充実させるのは最悪だ。集めた以上の金額を再分配するのを辞める(=社会保障を減らす)か、集める額を増やすしか道はない。
もしくはGDPを増やし、国の税収を増やすことだが、この30年間、GDPが1.1倍とほとんど増えなかった国だ。GDPをドラスッティックに増やすには、経済運営の大改革が必要なのだが、今の政治でそれが出来るとも思えない。そうなると財政状況が行きつくところまで行き、ハイパーインフレという形での借金の踏み倒しが起こるのだろう(個人的には、すでに、行きつくところまで、ほぼ行きついてしまったと思っている)。
ひろゆき氏の説明に唸る
ちなみに、私は、MMT理論などは世界でも日本のネット社会だけに生き残っている絶滅危惧理論だと思っているのだが、日本には、まだ一定数信じている人がいるようだ。困ったものだ。確かに自国通貨だから、国はいくらでも紙幣を刷ることが出来るが、信用出来る紙幣を刷り続けられるわけではない。先日YouTubeを見ていたら、ひろゆき氏がうまい説明をしていた。
「そんなことが出来るなら、どんどん円紙幣を刷って、その円をドルに換え、GAFAの株を全部買い占めればいいではないか?そんなことで出来ないでしょう。そんなことしていると知ったら、外国人は誰も円をドルに換えてくれなくなるんですよ」
まさにその通り。円の価値が無くなる、すなわちハイパーインフレ発生だ。
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