キャリアに悩む方へ、自分の現在地、理想の目的地を書き出してみよう

重松和佳子『人生が変わるクリエイティブ営業術!』#8
外資系生命保険会社 営業所長、THE SWITCH編集長
  • コロナ禍で自分自身のキャリアや生き方をこれまで以上に考える時代に
  • キャリア3つの要素とは?悩む人は自分の現在地と、理想の目的地を書き出してみる
  • 知らない世界に生きる人にたくさん会って話を聞く。人は人で磨かれる

コロナ禍になり1年半以上が経ち、仕事のスタイルや生活が変わった人も多いと思います。私は現在、中途採用と育成の仕事をしているため、キャリアのお話を聞く機会がとても多いです。今後どう生きていくのか、どう仕事をしていくのかをこんなに真剣に考える人が増えたのは「人類史上初めてといっても過言ではない!」と思えるくらい大きなインパクトがありました。

sesame /iStock

私は22歳で大学を卒業し、新卒で外資系の日用品メーカーに就職しました。営業職として採用されましたが、なかなかはじめはうまくいかず、なんで営業という仕事に就いたんだろう…と悩んだこともありました。名古屋と群馬での転勤生活を経て、東京で仕事をしていた6年目、28歳のときに転職を決意し、現在の外資系生命保険会社に入社しました。保険の営業というまさに「THE営業」の仕事です。今振り返ってみても、人生最大の決断だったと思います。

人の決断には2種類あります。ひとつは、道を選ぶ決断。もう一つは、何かをやめる決断です。実は、選ぶ決断よりも、辞める決断のほうがパワーを要します。誰かと友達になるよりも絶交するときのほうが、結婚するよりも離婚するときのほうが、太るときよりも痩せるほうがパワーがいりませんか。就職よりも退職・転職のほうが難しいのは、前の仕事を終わらせることに起因しているような気がしています。決断の「決めて断つ」という文字は、何かをやめることを指しているのですね。今回は、私が転職した時に、どうやって決断したかをお話ししながら、人生とキャリアについて考えてみたいと思います。

キャリアとは?3つの要素

まず、キャリアとはなんでしょうか。私が考えるのは3つの要素です。具体的には

A スキル(能力)B 志(理念・ビジョン)C 環境(人・報酬・地域・働き方)

になります。わたしたちが雇用されたり起業したりするとき、この3つで決めているのではないでしょうか。私自身、新卒で入った会社は、同期も先輩も上司も超優秀で、社会的にも認められた会社であり、研修制度も整っていて、とても気に入っていました。それなのに何故転職したのかというと、理由は大きく3つあります。

  • 地域:当時新婚だったため、本社のある関西への転勤はしたくないと思っていました。しかしながら本社の仕事をせずにキャリアパスを描くことが難しかったです。その点、希望の地域で働ける現在の会社に魅力を感じました。
  • 人生と仕事のベクトル:当時スカウトしてくれた人に「人生のベクトルと仕事のベクトルは合致していますか?」と言われました。当時の私はその二つのベクトルが合致するなんて考えてもいませんでした。仕事は仕事、プライベートは土日に楽しめばいい。と考えていました。しかし、もし私が目指す人間像に、仕事を通してなれるなら、なりたい。彼は会社や仕事の理念と自分の志が合致している話をしてくれました。人生の楽しみと仕事の楽しみが合致するなら理想的。そう強く思いました。そしてこの話の人生を体現している師匠に強い憧れを抱きました。
  • 報酬:成果報酬の世界で社内政治関係なく認められ、報酬が得られるという制度は魅力的でした。相手が上司でも、たとえ立場がかなり上の人相手でも、間違っていると思ったら本心を言ってしまう私は忖度という言葉と一番かけ離れた人生を送っており、目の前のお客様に喜んでもらうことだけ考えればいいというところに強く惹かれました。

これらは、後から振り返れば

Aスキル(スカウトしてくれた師匠のような営業力・人間力を磨きたい)

B志(人生と仕事のベクトルを合致させ、会社の理念と自分の人生の志を合致させたい)

C環境(報酬制度、赴任地域、お客様との人間関係)

だったのだと思います。

人は人で磨かれる

今いる会社に居続けていいのか?転職や独立を考えている人は、この3点から自分の現在地と、理想の目的地を書き出してみるのはいかがでしょうか。ただし、人は知っていること以上の理想を描くのは難しいといわれています。まずは、自分の知らない世界に生きている人にたくさん会って話を聞いてみる。その中から自分の理想を考えてみるのはいかがでしょうか。そして最後は、直感で決めるのをお勧めします。なぜならはじめにお伝えしたように、断つのは難しいからです。人は易きに流れがち。現状維持が楽です。でも心が動いているなら、その直感に耳を澄ましてみてもよいのではないでしょうか。

metamorworks /iStock

何をするかより、誰とするか。ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨かれないといいます。人も人で磨かれると思います。だれと働くか。だれとご飯を食べるか。それで人生は大きく変わってくると思いませんか。なりたい人間像を思い描き、理想を掲げ、理念や志に共感できる人たちと働けたら幸せではないでしょうか。

昨今ネットからどんな情報も拾って来ることができます。しかし、リアルな情報交換を誰とするかで人生の幸せ度は大きく変わると思います。ネットの中から真実を見つけ出すのはとても難しい。ネットサーフィンで「知っている」と勘違いしてしまうのではなく、情報化社会だからこそ、素敵なリアルな人間関係を大切にしたいと思います。

25歳から一貫する思い

13年前に転職してから突っ走りました。たくさんの友人に助けられたし、一方でひどい言葉も言われ傷つきました。この仕事につかなかったら出会えなかった親友が今では幾人もいます。保険の営業は簡単に売れるような仕事ではありません。知識をつけ、素を磨き、徳を積まないと、お客様に化けの皮を剥がされてしまいます。たくさん泣いたけれど、その分ネタもたくさんできました。コミュニケーション力はかなり向上しました。なりたい人間になれているかといえばまだまだですが、守備範囲はかなり広がりました。

アップスパイラルを巻き起こす人になりたい」私の思いは25歳のころから40歳の現在まで変わっていません。私と出会ってくれた方が、少しでも夢や目標を持てたり、努力できたり、その人らしく活躍できるよう、目の前の人の心がポジティブになれるような営業パーソンでいたいと思います。

最後に。正しいキャリアなんてものは存在しません。あなたというかけがえのない存在がイキイキと生きていくために、自分の良さを生かせる環境で、楽しみながら社会に貢献できるといいですね。

 
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外資系生命保険会社 営業所長、THE SWITCH編集長

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