「経済安全保障で日の丸半導体復活」の欺瞞 〜 本当に力を入れるべき先端産業とは

【連載】鈴木一人教授「ほんとうの経済安全保障」を語ろう #2
ライター・編集者

国際政治から外交・安全保障、テクノロジーや産業政策に至るまで幅広い概念を包括する「経済安全保障」。「エコノミック・ステイトクラフト(ES)」と呼ばれることもあるが、厳密には両者には違いがあるという。また「半導体産業復活!」「中国締め上げ!」といった一面的イメージの流布も問題視する。国際政治経済学、そして宇宙政策など科学技術政策論に詳しい東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授に「ほんとうの経済安全保障」を引き続き聞く。

katerinasergeevna / iStock
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流布されるストーリーと実体に乖離

――日本における「経済安全保障」議論の象徴となっている「戦略物資」が半導体です。報道を見ていると、半導体は「産業界のコメ」と呼ばれ、これがなければハイテク機器は作れない、しかし日本では生産できない状態にあり大変だ、中国のものは怖くて使えないし、いざというとき入ってこない、だから世界トップメーカーである台湾のTSMCの工場を日本に誘致し、さらに「これで日の丸半導体も復活だ」……という流れ(ストーリー)になっている印象です。

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