緊急連載:ワクチン架空予約、時代錯誤の「朝日脳」には厳罰を(上)

あのころ朝日新聞があった #3
朝日新聞創業家
  • 朝日系ネット媒体、毎日による架空予約問題で「朝日脳」連載の村山氏が緊急寄稿
  • 「架空予約が非常識でも、正義であり公共性があれば」支持されるのかを検証
  • 報道に公共性はあったか?技術的な観点から「危険であり公共性はない」と村山氏

(編集部より)新型コロナワクチンの大規模接種予約システムの問題点を検証しようと、朝日新聞系の「AERA.dot」と毎日新聞の記者が、架空予約をして報道。これに岸信夫防衛相が抗議し、実兄の安倍晋三前首相が「悪質な妨害愉快犯」とツイートしたことが波紋を広げています。この問題を受けて、SAKISIRUで「朝日脳」をテーマに連載中の村山恭平氏が、緊急寄稿します。(2回連載)

防衛省サイト大規模接種予約ページより

架空予約は典型例

この連載をはじめるに当たって、朝日脳は絶滅危惧種のように思っていました。

ネットメディアのおかげもあり世間の既存メディアへの視線が厳しさを増している現在、あからさまな現役朝日脳記者はなりをひそめ、重傷者は役員かOBに限られるようになったと感じていました。

ところが、今回どうやら活きの良いサンプルが出てきたようです。 早速、診断してみましょう。

朝日・毎日関係の記者(厳密な所属はどうでもいいです)が、新型コロナウイルスワクチンの大規模接種予約サイトは、実在しない接種券番号でも受け付けてしまうことを、実際にネット上で架空操作をして確認したようです。

これを「朝日脳」診断方程式に代入してみます。 「架空予約はどんなに非常識でも、正義であり公共性があり万人が支持し絶対にうまくいくと、根拠も無くいつも思っている思考状態」が成り立つかどうか、細かく検証してみましょう。

「非常識」は言うまでもないこと。形式犯規模とは言え犯罪嫌疑濃厚な行為を「正義」と言うのは無理。それに、どうしても「正義の不正アクセス」を主張したいのであれば、そっとシステム担当者に連絡してあげれば、その方がよほど役に立ったはずです。わざわざ活字にするのは、商売上の都合でしかありません。

では「公共性」はどうか。この話は今回の主題なので、一旦おきます。

次に、「万人が支持し絶対にうまくいく」という点、少なくともネット上では圧倒的に批判が多いようです。「ネトウヨの評判などどうでもいい」と記者が始めから織り込んでいるのかも知れませんが、紙などの旧メディアでも支持はひろがっていません。

これでは「うまくいく」どころか、さらなる読者離れが目に見えてます。ですから、最後のトリデである公共性がなければ、架空予約は典型的な朝日脳暴走と言えます。

危険な架空予約に公共性などない

一般に「その行為」が、社会に与える迷惑よりも明らかに利益が大きいときに「公共性」があると言えるのでしょう。今回の場合、不具合の存在を報道することの利益と、そうした実験をすることの迷惑のどちらが大きいかという問題になります。

SAKISIRUの新田編集長が夕刊フジ紙上で、「平時ならギリギリ許される範囲だろう」と言っておられるのは、こういう観点からの判断でしょう。けれども、嫌と言うほど、朝日脳ともネットワークシステムとも付き合ってきた私は、これよりかなり厳しい評価をしなければなりません。

まず、実験方法の問題です。もし、架空予約が電話で人間相手に行われたのならば、直接的悪影響は限定的です。ある意味、謝れば済むことでしょう。けれども、ネットワーク上の入力システムに不適切な操作をしたとなれば話は別です。

anyaberkut/iStock

少し技術的な話をします。こうしたWEB上のシステムでは、ユーザー側の環境を予想できないという問題が常に存在しています。10年以上前、私は研究と起業を兼ねて自分でネットワークシステムを組み、ある公的機関で運用したことがあります。

そのとき、多くのユーザー環境では問題なく動くのに、マック上で特定のブラウザソフトの特定のバージョンを使っていると動かなくなるという問題が、納入直前に見つかりました。原因は結局不明で、「この環境では動きません」という断り書きをして逃げたことがあります。

当時と比較して、パソコンやスマホのOS、ブラウザソフト、ネット環境(特にセキュリティ関係)などが飛躍的に多様化している現在、どんなユーザー環境でも動くことを厳密に要求するのは無理です。

特に、番号入力を求める場合、半角全角の選択にはじまって、桁数、小数点とカンマの混同、文字の混入、特殊キーの使用など、ユーザーが何をしても、少なくともサーバーが誤動作しないように、あらゆる環境でテストしておく必要があり、担当者は運用時も気が休まることがありません。

今回は、先行する同様の予約システムでトラブルが多発しており、いくら防衛省でも、「世界中のハッカー諸君。かかってきなさい」と豪語していたわけではありません。急ごしらえのシステムに不具合があることは、はじめから想定されていたわけですから、今更それを指摘しても大した「公共の」利益はありません。逆に、とんでもない悪影響を及ぼす可能性が結構あります。

そして、一番心配なのは記者が、何を根拠に「自分の入力する番号は架空だ」と判断したのかということです。

下に続く

 

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