上場企業に女性管理職比率の記載を義務付けへ…「ホールディングス化企業に無意味」の声も

傘下企業は対象外...「実態かい離」懸念
ライター/SAKISIRU編集部
  • 上場企業の開示対象に「女性管理職比率」など新たに義務づけへ
  • 評価する声もあるが、キャリアに詳しいジャーナリスト「全く無意味」指摘も
  • 銀行の「年収ランキング」で地銀が2位になったカラクリと同様の構造が…

金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループは、「中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて」と題した報告書を発表した。

kawa*******mu /Photo AC

報告書は、投資家の投資判断に必要な情報を提供するために、約4000社の上場企業に対して「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」の3つの項目を有価証券報告書への記載を義務付けると明記。

同審議会の作業部会は、23日、この報告書案を了承した。金融庁は、できるだけ早期の本格適用を目指すとしている。

ツイッターでは賛否両論

このニュースが共同通信によって報じられるとツイッターでは賛否両論さまざまな意見が飛び交った。

情報公開は良いこと

女性管理職の比率や男女間の賃金格差が「企業価値」となんの関係があるのか

従業員の男女比率もセットでないと意味は無いと思いますが…

おまえらバカ政府と官僚が義務化を押し付けるんじゃねーよ、大体おまえらができてねーじゃんか…

独自の視点からこの取り組みの問題点を鋭く指摘したツイートもあった。ニュースサイト「MyNewsJapan」編集長の渡邉正裕氏は、次のようにツイートした。

ANAみたいにホールディング化して提出会社の175人分だけが開示対象になると全く無意味なんだが、そこ分かってるのかな。平均年間給与もそのせいで以前と比べ分からなくなってしまった」

「ホールディングス化企業に無意味」のワケ

渡邉氏の指摘通り、ホールディングス化した企業が3つの項目を開示しても無意味だろう。それは、ホールディングス化した企業の有価証券報告書では、実質的に事業を回している傘下の事業会社で働く従業員の状況がまったく分からないからだ。

たとえば、日本の時価総額ランキングトップ5に入る、リクルートホールディングス。グループ全体の従業員数は約4万6000人だが、リクルートホールディングスの有価証券報告書に記載されているのは、そのうちの138人だけだ。

持ち株会社であるリクルートホールディングスに勤務している従業員の平均年齢や平均勤続年数、平均年間給与が分かるだけで、事業会社で働いている従業員の状況は何一つ分からない。

Mücahiddin Şentürk /iStock

新潟の地銀が「年収ランキング」2位のカラクリ

ホールディングス化によって、会社の実態が分からなくなるのはこの例ばかりではない。ニュースサイト「ダイヤモンドオンライン」は、昨年配信した『年収が高い銀行ランキング2020最新版【全国85行完全版】』という記事で、「平均年収が高い銀行ランキング」を発表した。それによると、平均年収のトップが三井住友トラスト・ホールディングスで、第2位が新潟県の地銀・第四北越フィナンシャルグループだった。

「地銀の給料がメガバンクの給料より高いなんて」と衝撃を覚える人もいるだろうが、これには理由がある。第四北越フィナンシャルグループの有価証券報告書に記載されている従業員数はわずか7人。つまり、この銀行のトップ7人の平均年収というわけだ。

2020年3月期の有価証券報告書には、平均年齢が48.3歳で平均年間給与は1165万1000円と記載されている。ちなみに、同グループ全体では3441人が在籍しており、社員の口コミサイト「OPENWORK」では、回答者(71人)の平均年収は467万円だった。これが実態とすれば、とてもではないが、有価証券報告書がこの銀行の実態を表しているとは言えない。

女性管理職比率や男性の育児休業取得率を開示することには、もちろん大きな意味があり、投資家にとって参考になる情報なのかもしれない。ただ、それと同時に、ホールディングス化によって有価証券報告書では実態が掴めなくなった企業をどうするかの議論も大切ではないか。投資家のためと言うのであれば、少なくとも、事業会社ごとに分けて各社の従業員の状況を記載するようにすべきではないだろうか。

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