カルビー、湖池屋が相次いで値上げ発表…今後のポテトチップス市場は?
差別化に過熱、世界市場規模は驚きの...- カルビーと湖池屋が相次いでポテトチップスの値上げを発表
- 昨年から値上げが続いているが、“ポテチ市場”の現状は?高級路線志向も
- 日本の市場規模(21年)は1100億円超。世界に目を向けると…
カルビーが22日、ポテトチップスなどを9月1日納品分から値上げすると発表した。
今回、値上げされるのは、「ポテトチップス うすしお味」や「ポテトチップス コンソメパンチ」「ポテトチップス のりしお」「じゃがりこ サラダ」など、同社の看板商品を中心とした計157品。店頭価格で、10~20%値上がりする。「ポテトチップス うすしお味」(60グラム)は現行の140円程度から155円前後に値上がりする見通し。カルビーは、エネルギー価格や原材料価格の高騰を値上げの理由としている。
今月3日には湖池屋も、9月1日からのポテトチップス商品の値上げを発表している。「カラムーチョチップス ホットチリ味」(55グラム)は、店頭価格が146円前後から151円前後に上がる見通し。値上げの理由は、カルビーと同様だ。
それでも堅調“ポテチ”市場、人気は高級路線
カルビーも湖池屋も、昨年から同じ理由で何度か値上げをしているが、実は国内ポテトチップス市場は非常に好調だ。前年の台風直撃を受けて、北海道産ジャガイモの収穫量が減少したことで2017年に国内市場は4%減少したが、それまでは右肩上がりに成長。2017年後もV字回復し、2021年の市場規模は1100億円超。今後も堅調に推移していくと考えられている。
マーケット調査会社・富士経済は、国内ポテトチップス市場を次のように分析している。
2020年は、在宅時間の増加やおつまみ需要の高まりなどで幅広いユーザーを獲得し、市場は拡大した。一方で、需要急増に伴い販売休止となる商品もみられた。2021年は、コロナ禍のストレス解消として、濃いめの味付けや新奇性の高いフレーバーの需要が増えている。また、メーカーがフレーバー、さらには食感・厚みなどで差別化した商品を積極的に投入し、市場は好調が続いている。原料不足への懸念はあるものの、今後も深刻な原料不足にならない限り市場は安定的な推移が予想される。
富士経済の指摘通り、このところ、ポテトチップスメーカー各社は、差別化に熱心だ。たとえば、カルビーの高級路線商品「グランカルビー」。「ちょっとしたごあいさつに 自分へのごほうびに ギフトにしたいポテトチップス」がキャッチコピー。北海道産ジャガイモを100%使用し、カットや揚げ方にもこだわりぬかれている。69グラムで580円(税込)と「ポテトチップス うすしお味」と比べると4~5倍ほど高いが、好調な売り上げを見せているという。
湖池屋も高級路線のラインナップを充実させている。2017年2月に発売した「プライド ポテト」は、原材料にも製法にもこだわりぬいたポテトチップスで、湖池屋は「老舗・湖池屋のプライドをかけて。まるで料理のように、独自の製法でつくる、本当においしいポテトチップスです。」のキャッチコピーで売り出している。価格は一般的なポテトチップスより30%ほど高いが、売り上げは好調。湖池屋は2019年6月期に、売上高339億円(前期比5.4%増)、営業利益6.7億円(同145.8%増)と大幅な増収増益を記録したが、この立役者は「プライド ポテト」だと言われている。
世界市場は4兆円規模
世界に目を向けると、さらに著しいペースでポテトチップス市場は拡大している。2020年の世界のポテトチップス市場の規模は、312億ドル(約4兆2500億円)に達した。さらに、2026年には398億ドル(約5兆4300億円)に上ると予測されている。
カルビーも湖池屋も海外展開しているが、大きなシェアは握れていない。現状、ペプシコ、クラフトフーズ、ケロッグなどのアメリカ企業に後れを取っている。カルビーや湖池屋に代表される日本のポテトチップスメーカーは、味では決して引けを取らないはずだ。
この際、カルビーでも湖池屋でも、この巨大な市場を本気で狙いに行ってはどうか。海外で莫大な利益を得て、それを国内に還元してくれれば、なお良いのだが…。
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