あれから1か月…朝日新聞「社葬ボイコット」経験者が語る国葬論
【前編】政治的に「正しい」欠席方法は?安倍元総理の国葬儀は、これ以上ないほど後味の悪い形で、なんとなく終わりました。さすが「美しい国」です。世論の大勢は反対だったようですが、不思議なことに、「将来は『国葬』をどう取り扱うべきなのか」という議論は誰もしません。
今後、総理経験者が没する度に、国葬論争が始まるのでしょうか。

池田、中曽根を差し置いての国葬
確かに、安倍政権は在任期間の長さでは歴代最高記録でしたが、具体的な業績で定評とされているものは、意外なほど何もありません。善悪は別として憲法改正はウニャムニャ。アベノミクスはせいぜい「プラス面とマイナス面がある」ぐらいが、フェアな評価のように見えます。誰がやっても難しい状況からのスタートですから仕方ないのでしょうが、今の底なし円安不況を見れば、アベノミクスが国葬級の経済政策とはとても言えません。
外交面では、目立った友好関係を築けたのがトランプさんとプーチンさん。「世界二大ヤラカシ首脳」ではありませんか。しかも最期がカルト絡みで謎の残る暗殺では(我ながら酷な言い方で大変申し訳ありませんが、諸外国からのイメージでは間違いなくそうなっているでしょう)、現役の各国首脳が(ドタキャンを含めて)集まらなかったのは仕方ありますまい。
一方、戦後の歴代総理を思い返してみますと、所得倍増の池田勇人、ノーベル賞の佐藤栄作、国鉄民営化の中曽根康弘、拉致被害者一部救出の小泉純一郎…と大物が並んでいます。彼らを差し置いてなんで安倍さんなのでしょうか。当の本人も、尊敬する祖父を超えた扱いをされることに窮屈な想いをしているのではありませんか。
現首相が、最大派閥の安倍派(内紛はやめて「統一」しましょうね)の顔を立てるためのトバッチリが世界中に拡散したわけです。「胸に迫る弔辞」(私にはそうは思えませんが)にしても、同じ目的の話。ケチらずに電通にやらせれば、もっと見栄えのする演出が出来たでしょう。
それにしても、こういうことをやってしまって、今後は総理経験者が亡くなったときに政権が国葬にしないと、その派閥のメンツが立たないという妙な慣例にならないといいのですが。
政治的に正しい葬儀ボイコット方法
そもそも葬儀には2つの目的があります。まず、親族など故人の死に衝撃を受けている人たちに、少しずつ日常に戻っていただくことがあります。伝統の知恵と言ってもいいでしょう。
たとえば火葬の場合、一同で骨を拾うことで、故人が自分たちとは別世界に行ってしまったことを実感できます。土葬・水葬・鳥葬……故人の亡骸をあえて暴力的な方法で日常の世界から切り離すことで、けじめを付けるという意味があるのだと思います。
そして初七日・四十九日などと時間が経過して、少しずつ故人の存在は抽象的なものになっていきます。これが恐らく宗教というものの根本的な役割なのではないでしょうか、「葬式仏教」という言葉も、あながち悪口とも言い切れません。
もう一つの目的は、残された者によるネットワークの再構築で、故人が現役だったときには特に大きな意味があります。お互いの地位や力関係を再確認する場でもあり、反社などの世界では、この手の「義理事」には血なまぐさい抗争がつきものです。つまりハイエナの喧嘩ですね。
今回の元総理の国葬儀をめぐる争いも、基本的にはこういう話なのでしょう。ですから、親族など本気で悲しむ(ことが期待されている)人と何か政治的意図のある人以外は、とにかく目立たないのが一番です。わざわざ遺族を傷付けたり、抗争を複雑化させることもありますまい。

よって、変な喪服で注目を集める某政治学者さんなど論外ですし(こういうのはルッキズムとは言わないのですか)、政治的な事情で欠席するなら静かにしているべきです。蓮舫さんや辻元さんが欠席に○を付けたハガキを見せびらかすのも、どう考えてもハシタナイ話。元T教会の行事じゃあるまいし、誰も、「国葬に反対しながら、こっそり参加する気じゃないか」なんて勘ぐったりしません。
ハガキで返信するなら「政治的な立場上出席できませんが、心より御冥福をお祈り申し上げます」とでも添え書きしておけば、白々しいとは言え誰かを不必要に傷つけることはありません。返信さえせずに無視する場合でも、席順やら警備やらの都合もあるので事務方に「欠席しますが、よろしくお願いします」と連絡だけはしておきませんか。
葬儀のあり方に納得がいかなくて献花の代わりに喧嘩をするにしても、遺族やスタッフなど抗争とは無関係な人たちに不愉快な思いやいらぬ苦労をさせないよう、それなりの配慮はしましょう。
我が「葬儀ボイコット」体験論
今回、長々とこんな話をしましたのは、実は私自身が葬儀ボイコット経験者だからです。
2年前の叔母美智子(朝日新聞社社主)の社葬(名称は「お別れの会」)を、村山家全員で欠席しました。わざわざ内輪の恥を公表するのは、SAKISIRUを代表する人格者である私にしてはハシタナイことなのかもしれませんが、時効ということにして顛末を書かせていただきます。
冷静に考えれば、社葬をボイコットしたというよりは「ケッタクソ悪いから無視した」というのが実態です。なぜそんな気分になったかと言えば、何から何まで故人の遺志と無関係に自分らの思想と都合で仕切り、創業家をリスペクトをしている「フリ」をしている新聞社のやり方に付き合いきれなくなったからでした。
特に決定的だったのは…
(後編に続く)
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