新聞業界のNHKネット“媒体潰し”に記者OB苦言、佐々木俊尚氏「何をふざけたことを」

業界側「公正な競争困難」

新聞業界が、NHKのインターネット業務に対するプレッシャーを強めている。

NHKは現在、「NHK  NEWS  WEB」や「NHKニュース・防災アプリ」「NHK政治マガジン」などのサービスを運用しているが、これらは本業である放送を補完する業務として放送法上は位置付けられている。

東京・渋谷のNHK放送センター

NHK側は近年、若者を中心にテレビ離れが進み、スマホやネット利用が拡大する視聴者の環境変化を踏まえ、現在は「補完業務」に位置付けられるネット業務を放送と同じく「必須業務」に格上げすることを総務省側に提起している。

しかし、経営不振が長期化する新聞業界側は「NHKと新聞・通信社では公正な競争は極めて困難」と反発。7月24日には日本新聞協会メディア開発委員会が、NHKのネット業務必須化に反対する声明を出した。

さらに8月2日には、同委員会の担当者が自民党情報通信戦略調査会に出席。ここでも反対の意見を改めて申し入れた。ヒアリングは非公開で行われたが、朝日新聞によると、新聞協会側は、NHKがネットサービスに巨額の予算を投じて読者には無料で提供されていることで「地方紙から脅威だとの声が寄せられている」などを反対理由にあげ、NHKがネットのテキスト業務から撤退することまで訴えたという。

こうした新聞業界側の意見に苦言するのが新聞記者OBたちだ。毎日新聞出身のジャーナリスト佐々木俊尚氏は4日、X(旧ツイッター)で「何をふざけたことを言ってるのか、としか思いません。新聞社がより良質な記事を出せばNHKに勝てるでしょ」と呆れたようにコメントした。

朝日新聞出身のジャーナリスト峯村健司氏も佐々木氏の投稿に呼応。「まさに貧すれば鈍する。言論機関がカネを理由にメディアの封殺をするとは…」と絶句していた。

元朝日新聞で、ネットメディア「DANRO」編集長の亀松太郎氏も同じく佐々木氏の投稿を引用する形で「言論機関を自認する新聞社が『言論の多様性』を失わせようとしているようにみえます」と苦言を呈していた。

 
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