医師会長ジュニアが厚労相就任…内閣改造の“社会保障利権臭”に現役世代が戦々恐々

診療報酬値上げ?「増税の一種」の声

今週13日に発足した第2次岸田政権の2次改造内閣。その顔ぶれを見回して物議を醸したのは、武見敬三参院議員の厚労相就任だった。

厚労省職員に拍手で出迎えを受ける武見新大臣(武見氏Xより)

武見氏父、太郎氏(1904〜83)は日本医師会で戦後四半世紀に渡り会長として君臨した重鎮だった。太郎氏の三男である武見氏自身はニュースキャスター出身で、医師資格はないものの、1995年の政界進出時から医師会の支援を受けて当選を重ねており、典型的な“族議員”の1人と目されてきた。

武見氏の厚労相就任に際し、日本医師会はオウンドメディアで松本吉郎会長の談話を発表。内閣改造の顔ぶれについて「大変素晴らしい布陣」と賛辞を送ったで、

今回、特に武見敬三参議院議員が厚生労働大臣、自見はなこ参議院議員が地方創生担当大臣として入閣したことは日本医師会と致しましては、誠に喜ばしい限りです」と医師会が選挙で手厚く支援してきた2人の初入閣に喜びを隠さなかった。

また武見氏の支援者からも「お父様も草葉の陰でお喜びのはず」といった声も飛んでいる。まさに“我が世の春”の始まりといったムードだ。

当然のことながら14日の大臣就任記者会見でも記者からツッコミが出る。この記者は「来年度は診療報酬改定もあり、これから様々な場面で利害関係者との間で難しい舵取りが求められると思います」と前置きした上で、「今後厚労大臣として、日本医師会、日本医師連盟とどのようなかたちで関係をとりながら、厚生労働行政にあたっていくお考えか、ご所見をお願いいたします」とただすと、

武見氏は「私は、医療関係団体の代弁者ではありません」と取り沙汰されている懸念を否定。「国民の皆様の立場に立って、どのような政策を実現すべきかという考え方を、一貫して、自分の姿勢として持っていますし、これはこれからもしっかりとその姿勢に基づいて、職務を遂行するつもりでいます」と強調した。

※画像はイメージです(sudok1 / iStock)

現役世代は限界」

しかしX(旧ツイッター)上では医療問題や社会保障費に関心のある人たちから「医師会そのもの大臣」「開業医の操り人形」「コロナ以来の利権継続も露骨」といった懸念は強まるばかりだ。

最近、SNSの反応を取り上げることが増えている一般紙も反応。東京新聞は武見氏の大臣就任にまつわる懸念について、ここまで書いてきたようなネット世論に言及はしているが、紙面の読者の高齢化が著しい新聞だけに限界も見える。

記事で紹介されたネット民の「声」をよく見ると、利権」「医師会の代弁者」というビッグワードに集約されているが、肝心要のことが書かれていない。東京新聞の記者が“スルー”した可能性があるのは現役世代のさらなる負担増を懸念する声だ。

コロナ当時からXで医師会を批判してきたあるアカウントは、武見氏が就任会見で触れた診療報酬、介護報酬、薬価の「トリプル改定」について、「要は値上げで、これも増税の一種。社会保険料が増えて、天引きが増える。 現役世代は限界ですよ」と喝破した。

そして、現役世代の懸念をさらに深めるようなニュースがあった。折りしも武見氏が就任記者会見を行ったのと同日のある記者会見だ。(「あの新薬で医療費爆上げか?強まる現役世代の懸念、衆院選の論点なるか」に続く)

 

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