岸田首相 “なんちゃって減税”は、経団連の要望丸呑み。将来の「消費増税」予想も
井川意高氏「減税したら死ぬ病」- 減税が取り沙汰された岸田首相の経済対策にサプライズなし
- 賃上げや国内投資促進で減税メニューを掲げても酷評される理由
- 本来の支持率浮揚へ打ち手は?経団連の意向“丸呑み”で消費増税指摘も
岸田首相は25日の記者会見で経済対策の主なメニューを発表した。過去30年がコストカット重視だったとする「冷温経済」から、賃上げや人への投資を促す「適温経済」を掲げたが、一部で取り沙汰された「減税」では所得税が入っておらず、サプライズ感に欠けた。

“B2B”な減税メニュー
「コロナ禍を乗り越えた国民の皆様は、今度は物価高に苦しんでいます。今こそ、この成長の成果である税収増等を国民に適切に還元するべく、経済対策を実施したいと考えています」。
会見の冒頭、そう力強く語った岸田首相。物価高や賃上げ、国内投資促進など5つの柱を据え、「経済対策の重要な部分となる成長力の強化」として述べたのが、これまでイメージの薄かった「減税」だ。具体的な措置で挙げたのが、
- 成長力強化に向けて賃上げ税制の減税制度の強化
- 戦略分野の国内投資促進や特許などの所得に対する減税制度の創設
- ストックオプション減税措置の充実の検討
などだ。会見を速報したNHKが「岸田首相 賃上げや戦略分野の国内投資促す減税など議論進める」とのタイトルで、減税の2文字を入れたあたり、「増税イメージ」払拭に試行錯誤している政権側の目論見どおりだったが、これらはいわばビジネス用語で言う、B2B(法人向け)の減税措置にとどまり、B2C(一般消費者向け)向けではなかった。
ネット上の反応は散々で、元大王製紙会長で、ビジネスインフルエンサーの井川意高氏はXで「減税が最も効果的で最もシンプルなんだよ」と指摘した上で、「減税したら死ぬ病の岸田と財務省には 死んでも出来ないだろうけどな」と皮肉った。
減税が
最も効果的で
最もシンプル
なんだよ減税したら死ぬ病の
岸田と財務省には
死んでも出来ないだろうけどな https://t.co/d7WG1gxAdM— 井川 意高 サブアカ改め本アカ (@IkawaMototaka) September 25, 2023
ではB2C向けの減税とは何か。「岸田内閣、これ全部やれば支持率上がりますよ」--記者会見の6時間前、そう首相に呼びかけたのが国民民主の玉木代表だ。玉木氏が提起したのは次の4つで、
- ①インボイスがいらなくなる単一税率8%への消費税税減
- ②賃金や所得の増加率以上に所得税収が増える「ブラケット・クリープ」に対応する所得税減税
- ③暫定税率や二重課税を廃止するガソリン減税
- ④投資額以上の償却を認める投資減税(法人税減税)
岸田内閣、これ全部やれば支持率上がりますよ。
①インボイスがいらなくなる単一税率8%への消費税税減
②賃金や所得の増加率以上に所得税収が増える「ブラケット・クリープ」に対応する所得税減税
③暫定税率や二重課税を廃止するガソリン減税
④投資額以上の償却を認める投資減税(法人税減税)— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) September 25, 2023
④の法人税減税は盛り込まれた格好だが、国民民主が2年近く主張してきた③をはじめとするB2C向けの減税は一顧だにされなかった。
経団連の意向“丸呑み”

いったい、岸田政権は誰のための“減税”を打ち出したのか。「岸田首相が言っていた「減税の強化」の具体的な中身を調べていたら、全部経団連の税制改正要望に書いてあった」。Xで喝破したのは減税派のインフルエンサー、渡瀬裕哉氏だ。
経団連が今月8日付で政府に申し入れた最新版の「令和6年度税制改正に関する提言」をみると、確かに「賃上げ」「国内投資」「特許」についての“減税”は盛り込まれている。
経団連といえば、十倉雅和会長が今月19日の記者会見で「若い世代が将来不安なく、安心して子どもを持つには全世代型の社会保障改革しかない。それには消費税などの増税から逃げてはいけない」と述べ、現役世代からブーイングが飛んだばかりだ。その経団連の意向を丸呑みしている政権の対応を見て、渡瀬氏は「必然的に経団連会長が述べている消費税増税もやるということ」との見方を示す。
岸田首相が言っていた「減税の強化」の具体的な中身を調べていたら、全部経団連の税制改正要望に書いてあった件笑
経団連令和6年度税制改正に関する提言https://t.co/1oNejkqT0Q
ということは、必然的に経団連会長が述べている消費税増税もやるということ。分かりやすすぎて草生える。
— 渡瀬裕哉 (@yuyawatase) September 25, 2023
他方、経団連については給付と負担がセットになっている現行制度の発想に固執しており、B2C向け減税を主張した玉木氏に対しても「清々しいまでに社会保険料を回避する能力に感動」(島澤諭・関東学院大学教授)との批判が飛ぶ。
この点、岸田首相は「各種の給付措置に加え、税制や社会保障負担の軽減などあらゆる手法を動員する」と述べ、今後の具体策を示唆した。今回の経済対策では「130万円の壁」解消策を打ち出し、手取り収入が減少しないようための社会保険適用促進手当の創設も打ち出したが、この解消策は2年連続までとあって、25年に予定される次期年金制度改革のスケジュールを意識しているとの見方もくすぶる。
その次期年金制度改正について、厚労省は7月の段階で年金課長が経団連会館を訪れ、マクロ経済スライドなどで年金制度を持続可能にしてきた取り組みをレクチャーした。負担と給付の関係をどこまで見直すのか注視される。
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