日米比「準同盟」〜 アメリカの思惑、日本が今後取るべき方向性は?

佐々木れな『国際問題:リアルとセオリーの結節点』#21
ジョンズ・ホプキンス大学博士課程在学
  • 急接近する日本、アメリカ、フィリピンの3国準同盟関係を分析
  • なぜこの3国の枠組みか?アメリカにとっての南シナ海での利益は?
  • 中国軍の南シナ海展開にどう対処、準同盟化で日本の方向性は…

この連載の目的は、今世界で起きている国際問題を、国際政治学の理論やフレームワークで説明することである。理論やフレームワークは、今起きている国際問題の複雑な情報を構造化し、論理的に思考する一助となる。

第21回は、急接近する日本、アメリカ、フィリピンの3国準同盟関係が、南シナ海における中国の一方的な現状変更の試みに対処する上で有効な枠組かを分析する。

日本&フィリピン「準同盟化」

岸田文雄首相は、11月初旬にフィリピンの首都マニラを訪れ、自衛隊とフィリピン軍が互いの国を訪問して共同訓練や災害協力を行うことを可能にする部隊間協力円滑化協定(RAA)の交渉開始を宣言するとともに、防衛当局に対して支援を可能にする政府安全保障能力構築支援(OSA)の第1号として、フィリピンに対して沿岸レーダーの供与を発表した。

11/3、首脳会談後、文書交換式・共同記者発表した岸田首相とマルコス大統領(官邸サイト)

もちろん、OSAの初の供与事例がフィリピンであること自体が、フィリピンが日本の安全保障政策上高い優先順位を占めるパートナーであることを示唆しているが、それよりも更に重要なのはRAAである。

RAAはこれまで、オーストラリアイギリスとの間で署名されてきたが、それに伴いこれらの国々は日本にとって準同盟国として位置付けられてきた。つまりRAA交渉入りは、日本がフィリピンを準同盟国として位置付けようとしているということだ。

急速に進む日米比安全保障協力

日本とフィリピンの間の急接近は、何の文脈もなく発生しているわけではない。

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