グーグルのリモート勤務「給与最大25%削減」は日本企業でもあるか?

コロナ長期化でコスト見直し

ロイター通信が10日、「グーグルの在宅勤務社員が給与を削減される可能性がある(原題:Pay cut: Google employees who work from home could lose money)」とスクープした報道が日本でも12日、テレビ朝日がロイター報道を要約して報道し、ツイッターで話題になった。

シリコンバレーのGoogle本社(JHVEPhoto /iStock)

ロイター通信はグーグルの給与計算表を独自入手。「自宅勤務に恒久的に切り替えた場合、給与にさまざまな変化が起きる可能性がある」と指摘。シアトルのオフィスに通勤する匿名社員の証言として、自宅でフルタイム勤務した場合に給与が10%ほど削減されうるとの見通しがあるなどと伝えた。

テレ朝の報道でも「リモート勤務社員の給与カット」に焦点を当てていたが、テレ朝が「在宅勤務のうち、オフィスがある都市に住む場合は給与は削減されず、オフィスから離れたコストが低い場所に住むほど削減額が多くなる」と骨子を伝えているように、ポイントになるのは、地域ごとの物価などを勘案して決める地域別給与の基準設定だ。

SelectStock /iStock

コロナ禍になり、アメリカでは日本よりも早く大規模にリモートワークの動きが加速した。しかしコロナライフが長期化するにつれ、企業側もコスト見直しを進めている。ミズーリ州の経済研究情報センターが定期的に発表している全米の物価調査によれば、特に物価の高いニューヨークが145、カリフォルニアが137といった状況だが、ミシシッピは84.6、テキサスが92.3などと格差がある。

ロイターによると、グーグルは米国国勢調査局の大都市統計地域(CBSA)に基づいて給与計算表を算出しているという。リモート社員の待遇をめぐっては、フェイスブックやツイッターも、より物価の安い地域に移り住んだ従業員の賃金を削減した一方で、オンライン不動産のZillowや、ソーシャルニュース運営のRedditなどは場所とは関係ない形で給与を決定するなど、対応が別れているようだ。

日本でも在宅勤務の待遇について地域ごとに決める動きが出てくるのか気になるところだが、日本生産性本部が7月に発表した「第6回 働く人の意識調査」では、テレワーク実施率は20.4%にとどまった。前年7月調査以降も同程度で推移してきたという。

日本は、ワクチンの大規模摂取がアメリカより遅れをとったとはいえ、アメリカほど死者数が多くなく、総じて在宅勤務が普及しなかったとも言える。裏を返せば日本では企業側に在宅勤務の待遇を深掘りするほどの「切迫感」がないともいえるため、今後の在宅勤務の給与体系に変化が起きるのか注目される。

 

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