本当に北朝鮮対策なのか?韓国の最新鋭「潜水艦」配備の真の狙いを読む
オーバースペックな装備が示唆する「野心」- 韓国海軍初の3,000トン級潜水艦「島山安昌浩」が就役。その意味を読む
- 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)搭載可能だが、北朝鮮には無用の長物
- SLBM3つの優位性を考えると、日本に対する戦術では有効?
6月10日の拙稿、「日本へ最凶の『置き土産』…韓国・文在寅大統領の野望を暴く!」で指摘した、韓国の良からぬ企みがまたもや明らかとなった。
韓国「聯合ニュース」などの報道によると、8月13日、韓国が独自技術で設計・建造した韓国海軍初となる3,000トン級潜水艦「島山安昌浩(ドサン・アン・チャンホ:SS-083)」の就役式が、韓国南部の慶尚南道・巨済(コジェ)市にある大宇造船海洋(会社)の造船所で行われた。今後1年間、各種運用試験を実施した後、来年8月には実配備となる模様である。

SLBM搭載潜水艦の就役
ちなみに、「安昌浩(アン・チャンホ)」は、1919年に朝鮮半島からの日本の支配を駆逐することを目的に上海に設立された大韓民国臨時政府の幹部で、1932年4月29日に発生した「上海天長節爆弾事件」という爆弾テロ事件にも関与したとされる人物であり、「島山(ドサン)」は彼の号(称号)である。
報道等によると、本艦は長さ83.5m、幅9.6m、水中速度は20ノット(時速約37㎞)で、浮上せず長期間の潜航が可能な非大気依存推進(Air-Independent Propulsion:AIP)システムを備えたディーゼル潜水艦とされている。武装については、533㎜の魚雷発射管8本に加えて、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が搭載可能な垂直発射装置(VLS)が6個セル装備されているとのことである。
このSLBMについて韓国は、既存の弾道ミサイル「玄武(ヒョンム)2B(射程約500km)をベースに開発を進めていた模様であり、昨(2020)年までに地上発射試験を終え、本年7月には水中発射試験に成功したことが伝えられていた。韓国は、このSLBMの開発や保有について今まで公には明らかにして来なかったが、北朝鮮のSLBM発射実験を目の当たりにして以来、この開発を加速させていたものと見られる。
「対北」オーバースペックは明らか
しかし考えてみれば、韓国が北朝鮮のSLBMに対抗してこのSLBMを開発するというのは明らかにおかしい。単に張り合っているというならともかく、戦術的な妥当性は全くないに等しい。
SLBMの優位性は、
①弾道ミサイルの発射時期や位置を掴むことが極めて困難であること
②その弾道ミサイルの射程に加えて潜水艦の行動範囲まで射程距離が拡大すること
③常続的にパトロールさせることで対象国にプレッシャーをかけることが出来ること
が主である。これらを見ると、いずれも北朝鮮には無用の長物であることが分かる。

まず、①に対しては、韓国の既存の弾道ミサイル「玄武2B」は移動式装輪車に搭載されており、北朝鮮人民軍には、韓国国内を自由に移動するこの目標を逐次把握して精密に攻撃するような能力はない。したがって、北朝鮮に対し戦術攻撃として弾道ミサイルを使用するなら、地上発射型で十分なのである。②に対しては、冒頭で述べた6月10日の拙稿でも触れたが、韓国の弾道ミサイルの射程はすでに北朝鮮国内を全て捉えており、射程を拡大させる意味はない。
③に対しては、北朝鮮はすでに核兵器を誇示して韓国などへの挑発を繰り返しており、これに対抗し得るのは核抑止戦略のみである。現在は、これを米軍が戦略爆撃機などを北朝鮮の周辺に飛行させるなどして実行している。
今後、例えば米軍が韓国から撤収し、韓国が独自にこれに対抗するとしたならば、核兵器を保有しなければ、通常弾頭のSLBMでは抑止効果はない。この関係を解消するために、韓国が核兵器を開発して弾道ミサイルへの搭載が可能となった場合には、①と同様に地上発射型で北朝鮮に対して優位に立つことが出来るので、核抑止戦略は効果を発揮する。したがって、SLBMに投資する財源を弾頭数の増加に充当した方が、はるかに有利となる。
この①~③が有効に作用するのは、ほかならぬわが国であることに気付いていただけたであろうか。そして話はこれだけでは終わらない。(続きはこちら)
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