「安倍の傀儡かー?」高市早苗氏に向かって私、横田一が叫んだワケ

「怒らせて本音を引き出す」田原総一郎流の常套手段
ライター
  • 高市氏の記者会見で、叫んで質問したフリージャーナリストの横田一氏を直撃
  • 記者会見が途中で打ち切られ、他の記者が聞くべきことを聞いていなかったと説明
  • 最後まで質問を受け付ける「維新の会」の記者対応は「素晴らしい」

自民党総裁選に高市早苗氏が出馬表明した8日の記者会見の終盤、「森友事件の再調査するんですかー?」「安倍さんの傀儡政権なんですかー?」と大声で質問を投げかけた“報道関係者”のことがネット上で話題になった。

高市氏はこの“報道関係者”の質問に対し、高市氏は「文書の改ざんが絶対に起こらない体制を作っていく」などと答えたが、ツイッターでは動画中継から聞こえた声色からフリージャーナリストの横田一氏とすぐに指摘され、非難の声が巻き起こった。

「記者会見に現れてはいつもヤジり倒して迷惑を掛けている、フリージャーナリスト横田一だそうです。金輪際このバカを出禁にしろ。」

「横田一はテロリストに等しいな。こんなのジャーナリズムではない。」

こうした批判についてどう思っているのか。早速本人に聞いてみた。以下、一問一答。

良心を感じた高市氏の対応

――最後に叫んでいたのは、横田さんですか?
はい、そうです。あの日は会見場には100人ほどの報道陣が集まっていたんですが、新聞やテレビの記者ばかり指されていた。私も質問したくてずっと手を挙げていたんですが、最後まで指されなかったので、“声かけ質問”をしたわけです。フリーランスは、誰も指されなかったんじゃないですかね。

――なぜ叫んでまで質問した?
森友問題の再調査は、今も政治的に大きな争点になっている。でも、高市さんは冒頭の演説でも触れなかったし、記者たちも誰も聞こうとしなかった。聞くべきことを聞いてないから、私が声を出したんです。

――大声を出すのはルール違反、マナー違反との声もありますが、どう思いますか? 現場では「やめろよ」と言っている人もいましたが。
そういう考え方もあるとは思うけど、気にはしません。ルールやマナーを守っているばかりでは、聞くべきことが聞けなくなりますから。

――ちょっと挑発的すぎませんか?
田原総一郎さんも言っていたんですが『相手を怒らせて本音を引き出す』というのは、インタビューの常套手段ですよ。それに、立ち去るまでのほんの5秒ほどの間に相手から反論を引き出すには、ちょっと過激な言葉をぶつけるしかないんです。小池百合子さんは完全に無視してすぐ立ち去ってしまうんだけど、今回は高市さんは答えてくれたから、政治家としてまだ良心があるなと思いました。

――「傀儡か?」は言い過ぎな気もしますが。
「傀儡ではないのか?」とは言いましたが、「傀儡だろ!」とは言っていません。あれでも、質問の形なんです。何か反論が返ってくるかなと思いましたが、スルーされた。それもまた、彼女の政治姿勢を表していると思います。

質問をすべて受ける維新の会

KreangchaiRungfamai/iStock

――確かに、「改ざんが絶対に起こらない体制を作る」などの言葉を引き出したのは事実ですよね。
はい。私は今回の総裁選が安倍さんに対する“ゴマすり合戦”になってるんじゃないかという疑念を持っているのですが、質問をしたおかげでその構図が浮かびがったと思っています。有権者の判断材料になったと自画自賛しているぐらいです。

――横田さんは政治思想が左に偏っているのではないか、左翼活動家じゃないかという批判もありますが、どうでしょうか?
それを言ったら、ジャーナリストの田崎史郎さんなんてバリバリの自民党寄りだし、読売新聞や産経新聞もかなり政権寄りですよね。産経新聞は右翼活動家の新聞だって話になってしまいますよ。

――フリーランスがなかなか指されないという問題もありますね。
その通りです。維新の会の吉村洋文さんや大阪府知事時代の橋下徹さん、あと松井一郎さんも、記者会見では質疑応答の時間をたっぷり2時間ぐらい取って、記者全員から質問を受けていました。当然、そういう時には私も無理に叫んで“声かけ質問”なんてしません。する必要がないので。
維新の会は、政治的立場としては私は異論もありますが、記者会見の対応は確かに素晴らしい。

――今後も、記者会見の最後に叫ぶ可能性はある?
はい。記者会見の途中に大声を出したわけではなく、終了のタイミングを待って声を出しています。聞くべきことを聞くために、必要であれば、今後も“声かけ質問”は続けていきます。

横田氏は2017年には小池百合子東京都知事から「排除します」の発言を引き出し、その後の政局にも少なからぬ影響を与えたことで知られる。以後、横田氏は現在も都知事記者会見に毎週通っているが、質問しようと手を挙げても司会者から一切指されなくなったという。

今回も高市氏から一定の回答を引き出したことは事実であり、ゲリラ的に質問を投げかけることが一概に悪いとは言えないだろう。見苦しいと感じる人もいるかもしれないが、ある程度は許容範囲なのではないだろうか。

 

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