オリラジ中田敦彦さんのプロの話し方「攻めの1秒」のヒミツとは?
魚住りえ特別連載「1秒で心をつかめ。」#2- 魚住りえさんがコミュニケーションの「1秒」の大切さを説く連載後編
- 積極的に仕掛け、相手に好印象を残す「攻めの1秒」のテクニックとは?
- いい声を出すことと対話型であること。中田敦彦さんは対話型の達人
(編集部より)営業、プレゼンテーション、あるいはリモート会議…社会人でも若い人を中心にコミュニケーションの取り方に悩まれる方が少なくありません。ただ饒舌にしゃべればいいというものでもありません。元日本テレビアナウンサーで、現在はフリーで活躍する魚住りえさんは「出会い頭の1秒、会話の最中の1秒、別れ際の1秒など、コミュニケーションのあいだに生じる『特別な1秒』」を重視しています。 この連載では、魚住さんが「喋りのプロ」である著名人の隠された凄さを解き明かし、私たちが参考にすべきポイントを解説します。 (本稿は魚住りえさんの新刊『1秒で心をつかめ。一瞬で人を動かし、100%好かれる声、表情、話し方』(SBクリエイティブ)の一部を再構成しています)

前回は好印象を生む「1秒」の秘密のうち、「受けの1秒」をご紹介しました(見逃した方はこちらから)。さて今回は「攻めの1秒」。こちらから積極的に仕掛け、相手に好印象を残すテクニックです。 たとえば、あなたのまわりにも「あの人が来ると、なんだか職場が明るくなるよね」「あの人、いつも元気がいいよね」と言われている人がいませんか? また、アナウンサーやナレーターの語り口調に心地よさや爽やかさを感じた経験はないですか? 周囲にポジティブな印象を残している話し手に共通しているのは、出している「声」の質です。じつは、私たちの耳は構造上、3000ヘルツ付近の周波数を多く含む声を敏感に捉え、もっとも聞きとりやすく感じることがわかっています。いわば、心をつかむ声。 「あの人が来ると、なんだか職場が明るくなるよね」「あの人、いつも元気がいいよね」と評価されている人、語り口に心地よさや爽やかさを感じさせるアナウンサーやナレーターは、この音域の声で挨拶をし、話しをしているのです。
攻めの1秒は少し高めの声から
では、3000ヘルツ付近の周波数とはどのくらいの音域の声かというと、ドレミファソラシドなら「ソ」や「ラ」の高さ。つまり、あなたの普段の「おはようございます」を「ド」として、普段よりも少し高めを意識して「おはようございます」と言うと、ちょうど聞き手に心地よい音域になります。その際、口角を上げて発声すると、3000ヘルツ付近の周波数の声になることもわかっています。 もし、今、あなたが声を出しても問題ない場所にいるなら、ぜひ「ソ」と「ラ」の高さを意識して、口角を上げながら「おはようございます」と発声してみてください。 それが聞き手にポジティブな印象が残る声です。 そして、音の高さを変えると、声量も変化し、いつもより大きな声になることにも気づくはず。ここに「あの人が来ると、なんだか職場が明るくなるよね」「あの人、いつも元気がいいよね」の秘密があります。

いい声を出すと、相手は「この人の話を集中して聞こう」「この人は信頼できそう」と感じてくれます。口角を上げ、いい声を出す準備を整えるのに必要な時間はわずかなもの。つまり、声の質に意識を向けることも「攻めの1秒」と言えるのです。 ちなみに、声の質はトレーニングによって何歳からでも高めていくことができます。巻末には具体的なトレーニング方法を解説していますので、ぜひ試してみてください。
あっちゃんは対話型の達人
声の質とは別の角度から、もう1つ「攻めの1秒」の例を紹介します。 それは1秒先に立って相手の思考や感情に寄り添っていく対話型コミュニケーション。周囲から信頼されている上司や先輩が必ず実践している話し方です。 たとえば、プレゼンや会議で発言が一段落したとき、参加している人たちの様子を見ながら「ここまで大丈夫ですか?」「質問はありますか?」「何か疑問点はないですか?」と投げかけます。相手の思考が止まってしまっていないか寄り添い、決して一方的に話し続ける状態をつくらない「攻めの1秒」のテクニックです。

この対話型コミュニケーションの達人が、オリエンタルラジオの中田敦彦さんです。 2019年に開設したYouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」は登録者数400万人を突破し、圧倒的なコミュニケーション力でチャンネル登録者数を増やし続けています。 私もファンの1人で、2回に分け、5時間にわたって「エヴァンゲリオン」を語り切った解説回は神回で、すばらしいプレゼンだと感激しました。中田さんの話し方の特徴はウソのなさです。エヴァ解説回でも、ストーリーやキャラクターの解説にとどまらず、どれだけ自分がエヴァシリーズを愛してきたか、そして、裏切られてきたかといった複雑な感情も素直に吐露され、心に響いてきました。
動画の視聴者と会話するように
そして、コミュニケーションの達人だと感じるのは、視聴者と会話しているように話されている対話力です。 中田さんのチャンネルでは、歴史、文芸作品、ビジネスモデルの解説など、難解な題材も積極的にとり上げられています。でも、どんなに難解な解説回でも絶対に聞き手を置いてきぼりにしません。 「〜だと思いませんか?」 「〜ということなんですが、難しいですよね〜?」 「いやいや中田、いったいお前は何を言っているんだと、きっとあなたはそう思われ るでしょう」 みなさんではなく、「あなた」と呼びかけるのも特徴です。テレビではたくさんの視聴者に対して呼びかける語り口になりますが、YouTubeでは今、見てくれているたった1人のあなたのためにというニュアンスが大切。それが話し手と聞き手の結びつきに特別感を与えてくれるのです。 このあたりにもテレビの世界とはすっぱり距離を置いた潔さを感じますし、本気で語り、伝えようとしている迫力を感じます。 なお、新刊では第1章以降、声の質、言葉の選び方、質問の仕方、話の聞き方などの切り口で、さまざまなシチュエーションに合わせた「攻めの1秒」を解説していきます。ぜひご覧ください。(おわり)
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