雲仙・普賢岳の火砕流から30年:火山が噴火したらどうしたらいい?
富士山噴火で首都機能はマヒ- 雲仙・普賢岳の大火砕流から30年。もし身近に噴火が起きた場合の対処法は?
- 火砕流は時速100キロで「逃げるのは不可能」。富士山噴火なら東京も機能停止か。
- 気象庁の「噴火警報・噴火速報」で噴火警戒レベルにより、活火山の確認を

長崎県の雲仙・普賢岳で43人が犠牲となった大火砕流の発生から3日で30年を迎えた。火山の噴火や火砕流など、普段はあまり馴染みがないが、いざという時のために改めて知っておきたい。気象予報士で防災士の田頭孝志(たがしら・たかし)氏に、注意点や避難の方法を聞いた。
時速100キロ超の火砕流
火砕流の怖さは、まずスピードだという。
「時速100キロを超える高速スピードで火山噴出物や火山ガス(有毒ガス)が一気に押し寄せてきます。温度は最大700度にも達するため、走って逃げることは不可能。飲み込まれたら一瞬で全身を焼き尽くします」
津波や雪崩のようなイメージかもしれない。まだ距離があると思っていたら、あっという間に迫ってくるのだろう。噴火の前兆は、予知できるのだろうか。
「噴火が起こる前には、狭い震源域で断続的に揺れる『群発地震』や、地磁気の変動、マグマが動いていることを示す微弱な『低周波地震』などが起こります。天気予報のように「明日火山噴火が起こりそうだ」と言ったピンポイントな予想はできませんが、「火山の近くで地震が多く発生するようになったら噴火が近い」のように、ある程度の予知は可能です」
富士山が噴火したら…
富士山が噴火する可能性も、決してゼロではない。
「富士山は活火山の一つに数えられ、最後に噴火してから300年以上が経過しています。長い歴史の中で何度も噴火しているため、近い将来に噴火することは十分あり得ます。富士山近くにお住いの方は、火山防災マップを確認して噴火の影響を知っておきましょう」

近年は火山の噴火というと、雲仙・普賢岳のほか、三宅島や阿蘇山、御嶽山など、地方や郊外で発生している。東京や大阪など、都市部でも火山噴火の危険性はあるのだろうか。
「火山の噴火は活火山によってもたらされます。活火山から近い都市部では、火山噴火の危険があります。火山から離れていても、火山灰が大量に降り注いで健康被害が生じたり、交通機関がストップするなどの可能性があります」
日本全国の活火山の分布図を見てみると、東北地方の県境や伊豆諸島、群馬、大分、熊本、鹿児島などに集中している。やはり温泉地に多いようだ。首都圏や近畿地方、四国には活火山は存在しないとはいえ、富士山が噴火した場合は首都機能はマヒするとの試算もある。噴火したら、どうすべきか。
「近くにあるコンクリート製の建物に入り、安全を確保してください。身を隠せる場所がない場合は、姿勢を低く保ってリュックや荷物などで噴石から身を守ってください。火山からの距離が遠くても火山灰による健康被害の可能性があるので、マスクやタオルなどで口や鼻を覆ってください」
噴火警戒レベルに注意
火山との距離が近い場合は、火砕流から逃げる必要がある。
「火山からできるだけ遠くに離れてください。車で離れられる場合は車を使うのもよいですが、火山から遠ざかることができないルートの場合は車を置いて人間だけで避難する判断も必要です」
火山情報は気象庁の噴火警報・噴火速報で確認できる。
「噴火警戒レベルが2以上になっている山にできるだけ近づかないようにしましょう。また噴火警戒レベルが4以上になると特別警報クラスの対応が必要になるので、ただちに命を守る行動を取ってください」
現在は浅間山がレベル2、桜島がレベル3などとなっている。自然の脅威は、しばしば人間の想像を上回る。30年前の惨事に思いを馳せつつ、天変地異の恐ろしさを記憶に留めたいものである。
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