「岸田は帰れ」デモ騒音で78回目の原爆の日もぶち壊し、解決に踏み出す法的手段はこれだ
速報現場レポ、国民・玉木氏も「もうやめませんか」- 「例年にも増してひどかった」広島平和式典周辺のデモ騒音の速報ルポ
- 「怖い」怯える児童も…厳粛なムードは吹き飛び、国民・玉木氏も批判
- 「やればできる」4年前の参考例、解決へ向けた実効性ある法的手段は?
被爆地・広島市は8月6日、78回目の原爆の日を迎えました。
G7広島サミット後、初めての平和記念式典(「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」)ということもあり、多くの方々が式典会場の平和記念公園(広島市中区)を訪れました。また、新型コロナウイルスの感染症法上の取り扱いが2類相当から5類に引き下げられた影響からか、平和学習などで多くの児童・生徒たちも見られました。
ただ、中核派をはじめとする左派デモ団体による騒音は例年にも増してひどい有様でした。原爆犠牲者を悼み、恒久平和を希求しようと広島市に足を運んでいただいた皆様に対し、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
一方で、原爆ドーム前で繰り広げられる騒乱、式典挙行中の騒音は野放しにしてはならず、解決に向けて一歩踏み込んだ提案をしたいと思います。
「怖い」騒動に怯える児童も
まず、8月6日当日の様子をお伝えします。
午前6時すぎから、左派メンバーが原爆ドーム周辺に集まってきました。やがて、拡声器で政治的アピールを繰り返します。私は100メートルほど離れた相生橋の上で様子を観察していたのですが、シュプレヒコールはそこまで響き渡り、到底、原爆犠牲者を悼む雰囲気はありませんでした。
また、原爆ドームを見ようとした児童たちが、”騒動”により見学するのを止めた様子を目の当たりにしました。別の学校の児童たちは、「うるさいね」「怖い」とも口にしていました。子どもたちにとって、原爆ドームは“生きた教材”ですし、自分の目で見て何かを感じることが、“勉強”だと思います。
しかし、左派デモ団体は我が物顔で原爆ドーム前を占有状態にし、大音量でシュプレヒコールを繰り返し、子どもたちの「教育の機会(権利)」を奪っているのです。こうした権利侵害は、平和記念公園を訪れる人たちの往来を妨害するといった物理的な実害と同様、大きな問題だと思います。
広島市は国際平和文化都市を標榜し、「迎える平和」を実践しています。具体的には、広島市を訪問していただき、原爆ドームや平和資料館で被爆の実相を知ってもらうことで、「真の平和」を希求するという考えによるものです。「迎える平和」において、「8月6日」は象徴的な1日です。そのような日に、原爆ドーム前で繰り返される騒擾は、広島市の平和理念を根幹から覆す大問題なのです。
左派デモ団体による問題行動は、平和記念式典挙行中にも続きます。
午前8時に式典が始まり、原爆投下の午前8時15分から参列者一同による黙とうを終えると、式典会場東側から拡声器によるシュプレヒコールが聞こえ始めました。松井一実広島市長による「平和宣言」の最中に音量は大きくなり、その後、岸田文雄内閣総理大臣があいさつに登壇するまでの数十秒間、シュプレヒコールが響きわたり、厳粛なムードは吹き飛んでしまいました。岸田総理のあいさつの間も叫び声が響き、原爆犠牲者を悼み、恒久平和を希求するという式典の目的は達成が難しい状態になっていました。
「やればできる」4年前の参考例
この数年、広島市や広島市議会はデモ騒音問題に対峙してきました。2019年6月に「平和記念式典が厳粛な中で挙行されるよう協力を求める決議案」を全会一致で可決し、21年6月には、議員提案による「広島市平和推進基本条例」を成立させ、「本市は、平和記念日に、広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式を、市民の理解と協力の下に、厳粛の中で行うものとする」(6条第2項)と広島市の責務を明記しました。一方で、今年も含め、解決の糸口がつかめないというのが現状です。
「広島市平和推進基本条例」は平和行政における責務や役目を理念的に示したもので、罰則はありません。平和記念式典の目的達成が阻害され、市民らの権利が侵害されている今、解決に向けてより踏み込み、実効性のある法的な手立てを打つ必要性を感じています。
これには参考となる事例があります。2019年11月、ローマ教皇が平和記念公園を訪問された際、国主導により、騒音などの規制に関する法律を使い、静謐な環境を作り上げたのです。ローマ教皇が静寂に包まれた平和記念公園で平和メッセージを発信したことは今でも鮮明に覚えていますし、「やればできる」と実感したものです。
ただ、この時は、国が絡む行事ということで実現したわけですが、平和記念式典には、岸田総理をはじめ、林芳正外相、斉藤鉄夫国交相といった閣僚に加え、公明党の山口那津男代表や国民民主党の玉木雄一郎代表ら与野党の代表が参列しています。国連事務局や世界各国の関係者も臨席しています。平和記念式典は単に広島市主催のイベントにとどまらず、国家レベルのセレモニーだと思います。そうした観点から、国と広島市とが一体となって、平和記念式典を厳粛で静謐な環境のもと行えるよう、改善すべきなのです。
なお、国民民主党の玉木代表はSNS「X」(旧ツイッター)でシュプレヒコールについて投稿、「「戦争反対」と聞こえたが、まるで「平和反対」運動のよう。もうやめませんか」と批判しています。このツイートは6日17時時点で30万を超える人に表示され大きな反響でした。
式典の最中、今年もシュプレヒコールが聞こえてきた。核抑止論の限界を訴える広島市長の演説の時も、平和を願う子どもたちの演説の時さえも叫んでいた。「戦争反対」と聞こえたが、まるで「平和反対」運動のよう。もうやめませんか。常識ある国民の共感は得られません。カッコ付き「リベラル」の限界。 pic.twitter.com/Bg4C3SN8Fo
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) August 6, 2023
「静穏保持法」視野に
式典に参列した国会議員もこのように平和記念式典の問題点を認識しているわけです。ましてや、岸田文雄総理は、平和記念公園が所在する広島1区の選出の衆院議員です。地元で開催される平和記念式典で、自身のあいさつ中にシュプレヒコールが響き、原爆被害者を冒とくされていることを「良し」とするはずもないでしょう。
参考までに、拡声器使用の規制については、「国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律(昭和63年法90号)」(静穏保持法)があります。
この法律は、「外国公館等周辺地域における拡声機の使用について必要な規制を行うことにより、これらの地域の静穏を保持し、もって国会の審議権の確保と良好な国際関係の維持に資すこと」を目的としています。つまり、国会議事堂や政党事務所、外国公館等の周辺地域での拡声器使用を規制できるようにするものです。6月以下の懲役又は20万円以下の罰金という罰則があります。
広島市議会は、同条例によって、「平和を推進する活動をする」と責務を規定されています。広島市と広島市議会は、静穏保持法適用を視野に国と連携強化するなり、同法をベースにした条例を制定する段階に入っていると痛切に感じております。
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