五輪のどさくさに北方領土上陸の露首相、狙いは韓国との「反日連携」
中露韓が展開する“団体競技”の断層- 五輪開幕直後に、ロシアのミシュスチン首相が北方領土の択捉島訪問の狙いは?
- 背後に韓国や中国との「反日包囲網」。駐日韓国大使は北方領土のいわく付き人物
- 韓国は北方領土でロシアと、汚染水で中国と歩調合わせ。対日包囲網参画に注意
「平和の祭典」とも称されるオリンピックの裏側では、「国際外交の祭典」が展開される。今回も、日の当たる東京大会の裏で、韓国と中国、そしてロシアによる「反日共同戦線」という“団体競技”が見られた。
ロシアのミシュスチン首相が北方領土の択捉島を訪問したのがまさにそれだ。露首相は、オリンピック開幕直後の7月26日に北方領土の択捉島を就任後初めて訪問し、外国からの投資を誘致する「関税特区」構想を打ち上げ、日本を動揺させようとした。
さらに大きな狙いがある。ロシアはこれにより、韓国へのメッセージを送ったことになる。つまり、北方領土開発における韓国からの投資を誘っているのだ。東京オリンピックに関心が集まる時期を利用した、中露と韓国の「反日包囲網」形成の動きと見るべきだろう。

「北方領土は露領土」発言の韓国議員が大使に
プーチン大統領は、2020年7月の憲法改正で「領土の譲渡禁止」を明記し、さらに2021年6月、この条文が北方領土交渉にも「考慮される」と述べた。これは安倍首相の退陣を受けた対日政策転換で、プーチン大統領は領土問題で人気取り政策をしなければならないほどに、国民の支持が低下していると言われる。
これまでにもあったロシア首相の北方領土訪問は夏の時期に集中しているが、今回は日本国民の関心がオリンピックに集中している時期を意図的に選んだのも、支持率狙いあってのことだろう。
そして、「反日包囲網」である。日本政府がロシア政府に厳重に抗議すると、中国政府はいち早く日本を批判し、ロシアを支持した。
一方、韓国政府は公式には立場を明らかにしていない。だが、北方領土に関する韓国の真意は明らかである。現駐日大使の姜昌一氏は2011年5月に北方領土を訪問し「北方領土はロシアの領土だ」と発言したことを思い出してほしい。さらに同年11月、メドベージェフ大統領は自ら北方領土を訪問し、「中韓からの投資を歓迎する」と述べたのだ。実際に、ロシアは以前から韓国企業に北方領土への投資や開発参加を呼びかけ、共同会議を開催、韓国企業誘致を進めている。
竹島と北方領土で「対日共闘」目論む

文在寅大統領が、当時国会議員だった姜昌一氏の言動を知りながら駐日大使に任命したのには、当然、意図がある。ところが日本政府は、2011年当時の韓国国会議員の北方領土上陸に抗議声明を出していたにもかかわらず、2020年11月末、姜氏を大使として受け入れることに同意してしまった。これでは姜氏の「北方領土はロシア領」との発言を暗黙のうちに認めたことになる。外交的大敗北だ。
ロシア政府は「北方領土はロシア領」との発言を取り消さない姜氏の日本大使任命を、ロシアへのメッセージと受け止めたに違いない。
ロシアは文在寅政権の「反日外交」、その末の日韓関係の悪化を利用しようとしてきている。もとより韓国は日本と竹島問題を抱えており、領土問題で共闘できるとロシアは考えていたのだ。姜大使が国会議員として北方領土に上陸した際の言い分は「日本との領有権問題がある地域の支配・管理状況の視察のため」であり、竹島の領有権確保を目指す「独島領土守護対策特別委員会」の一員として行ったものであることをよく考える必要があるだろう。
中韓は「汚染水問題」で共闘中
文在寅大統領は、五輪開幕式で訪日するつもりだったが、取りやめた。訪日には、韓国財界の「日韓関係改善」への強い要望があった。不動産の高騰や高い失業率に悩む韓国経済は、中国依存を高めているが、韓国財界は日本からの原資材の輸入に依存している現実を理解しているからだ。
韓国のMBCテレビは五輪開幕式の報道で、ウクライナ選手団の入場に合わせチェルノブイリ原発の写真を使い、日本の福島原発事故を印象付けようとした。またハイチ選手団には「大統領暗殺で政局は霧の中」との字幕を重ね、1979年の朴正煕大統領暗殺を思い出させ、韓国大統領選挙での保守派批判につなげようとした。
これに、英ガーディアン紙の批判報道をはじめ視聴者や韓国メディアからの批判も高まり、MBC社長は謝罪会見を行っている。日本選手団の入場には、悪意のコメントや「日本叩き」はなかった。
ただし、選手団が「放射能の懸念がある」として日本での食事の提供を拒んだり、福島産であるメダリストに贈呈される花束に難癖をつけたりしているのは、韓国が中国と歩調を合わせる「原発処理水(汚染水)放出批判」との連携を想起させる。

北朝鮮以上に韓国に気をつけよ
意外なのは北朝鮮がこの「露中韓対日包囲網」に積極的には参加していないことだが、これは最近の中朝関係の悪化を反映している。中国は北朝鮮に米バイデン政権批判を要請しているが、北朝鮮は全く応じていない。ついでに日本批判もほとんど行っておらず、確かに北朝鮮の工作サイト「わが民族同士」や「統一日報」「黎明」などは東京オリンピックを「政治外交利用」「帝国主義」などと批判したが、これらのサイトは北朝鮮政府公式の「対外宣伝機関」ではなく、あくまで「工作機関」に過ぎない。
産経新聞までがこれらのサイトを「対外宣伝機関」と報じ「北朝鮮が東京五輪を批判」としたのはいただけない。また一部の在日コメンテーターなどがこれらの内容を引いて「北朝鮮が東京五輪を批判」とするのはほとんど誤報であり、北朝鮮の工作に利用されているか、協力していると見られても仕方ない。
日本は北朝鮮の工作機関の扇動よりも、韓国政府の「対日包囲網参画の意図」にこそ留意すべきであろう。
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