読者が読まないのは当たり前。行間を読ませようなんて思うな!
尾藤克之「すぐに使える!バズる文章術」#3- 読まれる文章術講座。今回は読者目線を養うことの大切さを学ぶ
- 読者想定で筆者の方程式=「自分/相手」×「主題」×「様式」とは?
- テーマ設定の切り口の大切さ。タイトルの作り方ひとつで印象様変わり
ネット上には多くの記事があふれています。読者はどのような基準でコンテンツを選択しているのでしょうか?「気になるタイトルだった」「大手ニュースサイトの記事だった」「好きなブロガーのコラムだった」など理由はさまざまでしょう。まずは、読者に読んでもらうための読者目線を養わなければいけません。
読者とは「どこの誰」で何者
情報感度は読者によってレベル差があります。たとえば、研究職のスタッフにお客様相談室の話をしても興味を持たれないかもしれません。読者をイメージすることは大切ですが、細かいセグメントまでは不要ということになります。
私は記事を構成する際、「自分/相手」×「主題」×「様式」を意識します。この三角形がうまく機能したときに「バズる」につながります。では詳しく説明しましょう。
〈自分/相手〉
「この人の記事なら読みたい」「このテーマはこの人しか書けない」という度合いです。取材記事なら、この人の記事なら誰もが読みたがる、その分野のエキスパートと称される人になります。この人の記事なら間違いなく読まれるというのもありです。パッと思い浮かんだのが、眞子様や小室圭さん。独占取材になれば必ず多くの人が見ると断言できます。
また、仕事でくくってもかまいません。医師、歯科医、弁護士、ジャーナリスト、コラムニスト、作家など、誰が聞いてもわかる仕事であることが望まれます。
〈主題〉
テーマや内容のことです。今なら新型コロナウイルスが世界的に関心を集めています。緊急事態宣言の発出により自粛生活が余儀なくされ、私たちの生活に影響を与えています。新型コロナウイルスを主題にする場合、芸能人やスポーツ選手が解説しても説得力がありません。まったく無名の医師や歯科医が専門性を担保した説明をしてもまだ不十分でしょう。
しかし、政府分科会の尾身会長の解説なら説得力があると思います。メディアへの露出度が高い、西村経済担当相も同様の効果があるでしょう。
〈様式〉
様式は体裁のことです。専門書にありがちな難しい内容は一般的には受け入れられません。最近多い、「マンガでわかる◯◯」「図解◯◯」はわかりやすさを追求した体裁です。わかりやすい例では、「もしドラ」ブームをもたらした『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海、ダイヤモンド社、2009年)が挙げられます。
切り口はどうすべきか
次に「切り口」を考えます。かつて“不治の病”と呼ばれた「結核」という感染症があります。日本では1950年まで死因の第1位でした。新選組の沖田総司、歌人の石川啄木、詩人の中原中也、小説家の樋口一葉など多くの有名人の命が奪われています。その後、医療や生活水準の改善により怖い病気ではなくなりました。
明治初期に「結核は怖くない—100パーセント治る」という本があったらベストセラーになったと思います。しかし、今同じテーマの本が出たとしても売れないでしょう。結核菌は結核患者の出す咳やくしゃみの飛沫が、別の人の肺に吸い込まれることによって感染します。
令和の時代、「結核は怖くない— 100パーセント治る」では響きませんが、次のようにしたらどうでしょうか?印象がかなり変わるはずです。
「怖い感染症から身を守る方法」
「感染症にかかりやすい習慣を改善する」
「怖い感染症から身を守る方法」ですから、健康法としてほかにも応用できそうです。
ドラッカーのマネジメント論は一般的ではありません。難しくて理解できないという人はかなりの割合になると思います。 前述の「もしドラ」はドラッカーの主張とはかけ離れているという辛辣な意見もありますが、だからこそ多くの人がドラッカーを知る契機になった1冊と考えれば、社会的意義は大きかったと考えることができます。
最近、発信に関心をもつ人が増えています。最初のうちは手間取るかも知れませんが、慣れれば難しくありません。まずは数をこなしましょう。
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